- 法令名 国籍法
- 法令番号 (昭和二十五年五月四日法律第百四十七号)
- 施行年月日 昭和二十五年七月一日
- 最終改正 平成五年一一月一二日法律第八九号
- (この法律の目的)
- 第一条
- 日本国民たる要件は、この法律の定めるところによる。
- (出生による国籍の取得)
- 第二条
- 子は、次の場合には、日本国民とする。
- 一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
- 二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
- 三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。
- (準正による国籍の取得)
- 第三条
- 1 父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
- 2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。
- (帰化)
- 第四条
- 1 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。
- 2 帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。
- 第五条
- 1 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
- 一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。
- 二 二十歳以上で本国法によつて能力を有すること。
- 三 素行が善良であること。
- 四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。
- 五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
- 六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。
- 2 法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、その者が前項第五号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
- 第六条
- 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
- 一 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有するもの
- 二 日本で生まれた者で引き続き三年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
- 三 引き続き十年以上日本に居所を有する者
- 第七条
- 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。
- 第八条
- 次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
- 一 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの
- 二 日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつたもの
- 三 日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの
- 四 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの
- 第九条
- 日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、第五条第一項の規定にかかわらず、国会の承認を得て、その帰化を許可することができる。
- 第十条
- 1 法務大臣は、帰化を許可したときは、官報にその旨を告示しなければならない。
- 2 帰化は、前項の告示の日から効力を生ずる。
- (国籍の喪失)
- 第十一条
- 1 日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
- 2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。
- 第十二条
- 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。
- 第十三条
- 1 外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を離脱することができる。
- 2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を失う。
- (国籍の選択)
- 第十四条
- 1 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。
- 2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。
- 第十五条
- 1 法務大臣は、外国の国籍を有する日本国民で前条第一項に定める期限内に日本の国籍の選択をしないものに対して、書面により、国籍の選択をすべきことを催告することができる。
- 2 前項に規定する催告は、これを受けるべき者の所在を知ることができないときその他書面によつてすることができないやむを得ない事情があるときは、催告すべき事項を官報に掲載してすることができる。この場合における催告は、官報に掲載された日の翌日に到達したものとみなす。
- 3 前二項の規定による催告を受けた者は、催告を受けた日から一月以内に日本の国籍の選択をしなければ、その期間が経過した時に日本の国籍を失う。ただし、その者が天災その他その責めに帰することができない事由によつてその期間内に日本の国籍の選択をすることができない場合において、その選択をすることができるに至つた時から二週間以内にこれをしたときは、この限りでない。
- 第十六条
- 1 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。
- 2 法務大臣は、選択の宣言をした日本国民で外国の国籍を失つていないものが自己の志望によりその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であつても就任することができる職を除く。)に就任した場合において、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるときは、その者に対し日本の国籍の喪失の宣告をすることができる。
- 3 前項の宣告に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
- 4 第二項の宣告は、官報に告示してしなければならない。
- 5 第二項の宣告を受けた者は、前項の告示の日に日本の国籍を失う。
- (国籍の再取得)
- 第十七条
- 1 第十二条の規定により日本の国籍を失つた者で二十歳未満のものは、日本に住所を有するときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
- 2 第十五条第二項の規定による催告を受けて同条第三項の規定により日本の国籍を失つた者は、第五条第一項第五号に掲げる条件を備えるときは、日本の国籍を失つたことを知つた時から一年以内に法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。ただし、天災その他その者の責めに帰することができない事由によつてその期間内に届け出ることができないときは、その期間は、これをすることができるに至つた時から一月とする。
- 3 前二項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。
- (法定代理人がする届出等)
- 第十八条
- 第三条第一項若しくは前条第一項の規定による国籍取得の届出、帰化の許可の申請、選択の宣言又は国籍離脱の届出は、国籍の取得、選択又は離脱をしようとする者が十五歳未満であるときは、法定代理人が代わつてする。
- (省令への委任)
- 第十九条
- この法律に定めるもののほか、国籍の取得及び離脱に関する手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、法務省令で定める。
- 附則 抄
- 1 この法律は、昭和二十五年七月一日から施行する。
- 2 国籍法(明治三十二年法律第六十六号)は、廃止する。
- 5 この法律の施行前日本に帰化した者の子で従前の国籍法第十五条第一項の規定によつて日本の国籍を取得したものは、第六条第四号の規定の適用については、日本に帰化した者とみなす。この法律の施行前日本国民の養子又は入夫となつた者も、また、同様である。
- 附則(昭和二七年七月三一日法律第二六八号) 抄
- この法律は、昭和二十七年八月一日から施行する。
- 附則 (昭和五九年五月二五日法律第四五号) 抄
- (施行期日)
- 第一条
- この法律は、昭和六十年一月一日から施行する。
- (帰化及び国籍離脱に関する経過措置)
- 第二条
- この法律の施行前に帰化の許可の申請又は国籍離脱の届出をした者の帰化又は国籍の離脱については、なお従前の例による。
- (国籍の選択に関する経過措置)
- 第三条
- この法律の施行の際現に外国の国籍を有する日本国民は、第一条の規定による改正後の国籍法(以下「新国籍法」という。)第十四条第一項の規定の適用については、この法律の施行の時に外国及び日本の国籍を有することとなつたものとみなす。この場合において、その者は、同項に定める期限内に国籍の選択をしないときは、その期限が到来した時に同条第二項に規定する選択の宣言をしたものとみなす。
- (国籍の再取得に関する経過措置)
- 第四条
- 新国籍法第十七条第一項の規定は、第一条の規定による改正前の国籍法第九条の規定により日本の国籍を失つた者で二十歳未満のものについても適用する。
- (国籍の取得の特例)
- 第五条
- 1 昭和四十年一月一日からこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までに生まれた者(日本国民であつた者を除く。)でその出生の時に母が日本国民であつたものは、母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、施行日から三年以内に、法務省令で定めるところにより法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
- 2 前項に規定する届出は、国籍を取得しようとする者が十五歳未満であるときは、法定代理人が代わつてする。
- 3 第一項に規定する届出をしようとする者が天災その他その責めに帰することができない事由によつて同項に定める期間内に届け出ることができないときは、その届出の期間は、これをすることができるに至つた時から三月とする。
- 4 第一項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。
- 第六条
- 父又は母が前条第一項の規定により日本の国籍を取得したときは、子(日本国民であつた者を除く。)は、同項に定める期間内に、法務省令で定めるところにより法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。ただし、その父又は母が養親であるとき、又は出生の後に認知した者であるときは、この限りでない。
- 2 前条第二項から第四項までの規定は、前項の場合について準用する。
- 附則 (平成五年一一月一二日法律第八九号) 抄
- (施行期日)
- 第一条
- この法律は、行政手続法(平成五年法律第八十八号)の施行の日から施行する。
- (諮問等がされた不利益処分に関する経過措置)
- 第二条
- この法律の施行前に法令に基づき審議会その他の合議制の機関に対し行政手続法第十三条に規定する聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続に相当する手続を執るべきことの諮問その他の求めがされた場合においては、当該諮問その他の求めに係る不利益処分の手続に関しては、この法律による改正後の関係法律の規定にかかわらず、なお従前の例による。
- (罰則に関する経過措置)
- 第十三条
- この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
- (聴聞に関する規定の整理に伴う経過措置)
- 第十四条
- この法律の施行前に法律の規定により行われた聴聞、聴問若しくは聴聞会(不利益処分に係るものを除く。)又はこれらのための手続は、この法律による改正後の関係法律の相当規定により行われたものとみなす。