法令名 国税徴収法
法令番号 (昭和三十四年四月二十日法律第百四十七号)
施行年月日 昭和三十五年一月一日
最終改正 平成八年六月一四日法律第八二号
国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)の全部を改正する。
目次
第一章 総則(第一条―第七条)
第二章 国税と他の債権との調整
 第一節 一般的優先の原則(第八条―第十一条)
 第二節 国税及び地方税の調整(第十二条―第十四条)
 第三節 国税と被担保債権との調整(第十五条―第二十二条)
 第四節 国税と仮登記又は譲渡担保に係る債権との調整(第二十三条
  ―第二十五条)
 第五節 国税及び地方税等と私債権との競合の調整(第二十六条)
第三章 第二次納税義務(第二十七条―第四十一条)
第四章 削除
第五章 滞納処分
 第一節 財産の差押
  第一款 通則(第四十七条―第五十五条)
  第二款 動産又は有価証券の差押(第五十六条―第六十一条)
  第三款 債権の差押(第六十二条―第六十七条)
  第四款 不動産等の差押(第六十八条―第七十一条)
  第五款 無体財産権等の差押(第七十二条―第七十四条)
  第六款 差押禁止財産(第七十五条―第七十八条)
  第七款 差押の解除(第七十九条―第八十一条)
 第二節 交付要求(第八十二条―第八十八条)
 第三節 財産の換価
  第一款 通則(第八十九条―第九十三条)
  第二款 公売(第九十四条―第百八条)
  第三款 随意契約による売却(第百九条・第百十条)
  第四款 売却決定(第百十一条―第百十四条)
  第五款 代金納付及び権利移転(第百十五条―第百二十七条)
 第四節 換価代金等の配当(第百二十八条―第百三十五条)
 第五節 滞納処分費(第百三十六条―第百三十八条)
 第六節 雑則
  第一款 滞納処分の効力(第百三十九条・第百四十条)
  第二款 財産の調査(第百四十一条―第百四十七条)
第六章 滞納処分に関する猶予及び停止等
 第一節 換価の猶予(第百四十八条―第百五十二条)
 第二節 滞納処分の停止(第百五十三条―第百五十七条)
 第三節 保全担保及び保全差押(第百五十八条―第百六十条)
第七章 削除
第八章 不服審査及び訴訟の特例(第百六十六条―第百七十三条)
第九章 雑則(第百七十四条―第百八十六条)
第十章 罰則(第百八十七条―第百八十九条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条
 この法律は、国税の滞納処分その他の徴収に関する手続の執行について必要な事項を定め、私法秩序との調整を図りつつ、国民の納税義務の適正な実現を通じて国税収入を確保することを目的とする。
(定義)
第二条
 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国税 国が課する税のうち関税、とん税及び特別とん税以外のものをいう。
二 地方税 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第十四号(用語)に規定する地方団体の徴収金(都、特別区及び全部事務組合のこれに相当する徴収金を含む。)をいう。
三 消費税等 消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方道路税、石油ガス税及び石油税をいう。
四 附帯税 国税のうち延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税をいう。
五 公課 滞納処分の例により徴収することができる債権のうち国税(その滞納処分費を含む。以下同じ。)及び地方税以外のものをいう。
六 納税者 国税に関する法律の規定により国税(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第二号(定義)に規定する源泉徴収等による国税を除く。)を納める義務がある者及び当該源泉徴収等による国税を徴収して国に納付しなければならない者をいう。
七 第二次納税義務者 第三十三条から第三十九条まで(無限責任社員等の第二次納税義務)又は第四十一条(人格のない社団等に係る第二次納税義務)の規定により納税者の国税を納付する義務を負う者をいう。
八 保証人 国税に関する法律の規定により納税者の国税の納付について保証をした者をいう。
九 滞納者 納税者でその納付すべき国税をその納付の期限(国税通則法第四十七条第一項(納税の猶予)に規定する納税の猶予又は徴収若しくは滞納処分に関する猶予に係る期限を除く。)までに納付しないものをいう。
十 法定納期限 国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限(次に掲げる国税については、それぞれ次に定める期限又は日)をいう。この場合において、国税通則法第三十八条第二項(繰上請求)に規定する繰上げに係る期限及び所得税法(昭和四十年法律第三十三号)若しくは相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定による延納、国税通則法第四十七条第一項に規定する納税の猶予又は徴収若しくは滞納処分に関する猶予に係る期限は、当該国税を納付すべき期限に含まれないものとする。
  イ 国税通則法第三十五条第二項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき国税 その国税の額をその国税に係る同法第十七条第二項(期限内申告書)に規定する期限内申告書に記載された納付すべき税額とみなして国税に関する法律の規定を適用した場合におけるその国税を納付すべき期限
  ロ 国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限とされている日後に納税の告知がされた国税(ハ又はニに掲げる国税に該当するものを除く。) 当該期限
  ハ 国税に関する法律の規定により一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている賦課課税方式による国税当該事実が生じた日
  ニ 附帯税又は滞納処分費 その納付又は徴収の基因となる国税を納付すべき期限(当該国税がイからハまでに掲げる国税に該当する場合には、それぞれ当該国税に係るイからハまでに掲げる期限(地価税に係る過少申告加算税、無申告加算税及び国税通則法第三十五条第三項(過少申告加算税等の納付)に規定する重加算税については、先に到来する期限)又は日)
十一 徴収職員 税務署長その他国税の徴収に関する事務に従事する職員をいう。
十二 強制換価手続 滞納処分(その例による処分を含む。以下同じ。)、強制執行、担保権の実行としての競売、企業担保権の実行手続及び破産手続をいう。
十三 執行機関 滞納処分を執行する行政機関その他の者(以下「行政機関等」という。)、裁判所、執行官及び破産管財人をいう。
(人格のない社団等に対するこの法律の適用)
第三条
 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下「人格のない社団等」という。)は、法人とみなして、この法律の規定を適用する。
第四条
から第七条まで 削除
第二章 国税と他の債権との調整
 第一節 一般的優先の原則
(国税優先の原則)
第八条
 国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だつて徴収する。
(強制換価手続の費用の優先)
第九条
 納税者の財産につき強制換価手続が行われた場合において、国税の交付要求をしたときは、その国税は、その手続により配当すべき金銭(以下この章において「換価代金」という。)につき、その手続に係る費用に次いで徴収する。
(直接の滞納処分費の優先)
第十条
 納税者の財産を国税の滞納処分により換価したときは、その滞納処分に係る滞納処分費は、次条、第十四条から第十七条まで(担保を徴した国税の優先等)、第十九条から第二十一条まで(先取特権等の優先)及び第二十三条(法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先等)の規定にかかわらず、その換価代金につき、他の国税、地方税その他の債権に先立つて徴収する。
(強制換価の場合の消費税等の優先)
第十一条
 国税通則法第三十九条(強制換価の場合の消費税等の徴収の特例)又は輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和三十年法律第三十七号)第八条第一項第二号若しくは第六号(公売又は売却等の場合における内国消費税の徴収)の規定により徴収する消費税等(その滞納処分費を含む。)は、次条から第十七条まで(差押先着手による国税の優先等)及び第十九条から第二十一条まで(先取特権等の優先)の規定にかかわらず、その徴収の基因となつた移出又は公売若しくは売却に係る物品の換価代金につき、他の国税、地方税その他の債権に先だつて徴収する。
 第二節 国税及び地方税の調整
(差押先着手による国税の優先)
第十二条
1 納税者の財産につき国税の滞納処分による差押をした場合において、他の国税又は地方税の交付要求があつたときは、その差押に係る国税は、その換価代金につき、その交付要求に係る他の国税又は地方税に先だつて徴収する。
2 納税者の財産につき国税又は地方税の滞納処分による差押があつた場合において、国税の交付要求をしたときは、その交付要求に係る国税は、その換価代金につき、その差押に係る国税又は地方税(第九条(強制換価手続の費用の優先)の規定の適用を受ける費用を除く。)に次いで徴収する。
(交付要求先着手による国税の優先)
第十三条
 納税者の財産につき強制換価手続が行なわれた場合において、国税及び地方税の交付要求があつたときは、その換価代金につき、先にされた交付要求に係る国税は、後にされた交付要求に係る国税又は地方税に先だつて徴収し、後にされた交付要求に係る国税は、先にされた交付要求に係る国税又は地方税に次いで徴収する。
(担保を徴した国税の優先)
第十四条
 国税につき徴した担保財産があるときは、前二条の規定にかかわらず、その国税は、その換価代金につき他の国税及び地方税に先だつて徴収する。
 第三節 国税と被担保債権との調整
(法定納期限等以前に設定された質権の優先)
第十五条
1 納税者がその財産上に質権を設定している場合において、その質権が国税の法定納期限(次の各号に掲げる国税については、当該各号に定める日とし、当該国税に係る附帯税及び滞納処分費については、その徴収の基因となつた国税に係る当該各号に定める日とする。以下「法定納期限等」という。)以前に設定されているものであるときは、その国税は、その換価代金につき、その質権により担保される債権に次いで徴収する。
一 法定納期限後にその納付すべき額が確定した国税(過怠税を含む。)その更正通知書若しくは決定通知書又は納税告知書を発した日(申告納税方式による国税で申告により確定したものについては、その申告があつた日)
二 法定納期限前に国税通則法第三十八条第一項(繰上請求)の規定による請求(以下「繰上請求」という。)がされた国税 当該請求に係る期限
三 第二期分の所得税(所得税法第百四条第一項(予定納税額の納付)(同法第百六十六条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定により同項に規定する第二期において納付すべき所得税をいい、同法第百十五条(出国をする場合の予定納税額の納期限の特例)(同法第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定により納付すべき所得税で同法第百四条第一項に規定する第一期において納付すべき所得税の納期限後に納付すべきものを含む。) 当該第一期において納付すべき所得税の納期限
四 相続税法第三十五条第二項(申告書の提出期限前の決定等)の規定による決定又は更正により納付すべき税額が確定した相続税又は贈与税 その決定通知書又は更正通知書を発した日
四の二 地価税(国税通則法第二条第七号(定義)に規定する法定申告期限(以下この号において「法定申告期限」という。)までに納付するもの及び第一号に掲げるものを除く。) その更正通知書又は決定通知書を発した日(申告により確定したものについては、その申告があつた日(その日が当該地価税の法定申告期限前である場合には、当該法定申告期限))
五 再評価税で確定した税額を二以上の納期において納付するもののうち最初の納期後の納期において納付する再評価税 その再評価税の最初の納期限
五の二 国税通則法第十五条第三項第二号から第四号まで、第六号及び第七号(源泉徴収等による国税等)に掲げる国税(同項第二号から第四号まで及び第六号に掲げるものについては、法定納期限以前に納付されたものを除く。) その納税告知書を発した日(納税の告知を受けることなく法定納期限後に納付された国税については、その納付があつた日)
六 第二十四条第二項(譲渡担保権者の物的納税責任)又は第百五十九条第三項(保全差押の金額の通知)(国税通則法第三十八条第四項(繰上保全差押)において準用する場合を含む。)の規定により告知し、又は通知した金額の国税 これらの規定による告知書又は通知書を発した日
七 相続人(包括受遺者を含む。以下同じ。)の固有の財産から徴収する被相続人(包括遺贈者を含む。以下同じ。)の国税及び相続財産から徴収する相続人の固有の国税(相続(包括遺贈を含む。以下同じ。)があつた日前にその納付すべき税額が確定したもの(国税通則法第十五条第三項第二号から第四号まで及び第六号に掲げる国税については、その日前に納税告知書を発したもの。以下次号において同じ。)に限る。) その相続があつた日
八 合併により消滅した法人(以下「被合併法人」という。)に属していた財産から徴収する合併後存続する法人又は当該合併に係る他の被合併法人の固有の国税及び合併後存続する法人の固有の財産から徴収する被合併法人の国税(合併のあつた日前にその納付すべき税額が確定したものに限る。)その合併のあつた日
九 第二次納税義務者又は保証人として納付すべき国税 第三十二条第一項(第二次納税義務者に対する納付通知)の納付通知)又は国税通則法第五十二条第二項(保証人に対する納付通知)の納付通知書を発した日
2 前項の規定は、登記(登録を含む。以下同じ。)をすることができる質権以外の質権については、その質権者が、強制換価手続において、その執行機関に対し、その設定の事実を証明した場合に限り適用する。この場合において、有価証券を目的とする質権以外の質権については、その証明は、次に掲げる書類によつてしなければならない。
一 公正証書
二 登記所又は公証人役場において日附のある印章が押されている私署証書
三 郵便法(昭和二十二年法律第百六十五号)第六十三条(内容証明)の規定により内容証明を受けた証書
3 前項各号の規定により証明された質権は、第一項の規定の適用については、民法施行法(明治三十一年法律第十一号)第五条(確定日附がある証書)の規定により確定日附があるものとされた日に設定されたものとみなす。
4 第一項の質権を有する者は、第二項の証明をしなかつたため国税におくれる金額の範囲内においては、第一項の規定により国税に優先する後順位の質権者に対して優先権を行うことができない。
(法定納期限等以前に設定された抵当権の優先)
第十六条
 納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に抵当権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その抵当権により担保される債権に次いで徴収する。
(譲受前に設定された質権又は抵当権の優先)
第十七条
1 納税者が質権又は抵当権の設定されている財産を譲り受けたときは、国税は、その換価代金につき、その質権又は抵当権により担保される債権に次いで徴収する。
2 前項の規定は、登記をすることができる質権以外の質権については、その質権者が、強制換価手続において、その執行機関に対し、同項の譲受前にその質権が設定されている事実を証明した場合に限り適用する。この場合においては、第十五条第二項後段及び第三項(優先質権の証明)の規定を準用する。
(質権及び抵当権の優先額の限度等)
第十八条
1 前三条の規定に基き国税に先だつ質権又は抵当権により担保される債権の元本の金額は、その質権者又は抵当権者がその国税に係る差押又は交付要求の通知を受けた時における債権額を限度とする。ただし、その国税に優先する他の債権を有する者の権利を害することとなるときは、この限りでない。
2 質権又は抵当権により担保される債権額又は極度額を増加する登記がされた場合には、その登記がされた時において、その増加した債権額又は極度額につき新たに質権又は抵当権が設定されたものとみなして、前三条の規定を適用する。
(不動産保存の先取特権等の優先)
第十九条
1 次に掲げる先取特権が納税者の財産上にあるときは、国税は、その換価代金につき、その先取特権により担保される債権に次いで徴収する。
一 不動産保存の先取特権
二 不動産工事の先取特権
三 立木の先取特権に関する法律(明治四十三年法律第五十六号)第一項(立木の先取特権)の先取特権
四 商法(明治三十二年法律第四十八号)第八百十条(救助者の先取特権)若しくは第八百四十二条(船舶債権者の先取特権)、国際海上物品運送法(昭和三十二年法律第百七十二号)第十九条(船舶先取特権)、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律(昭和五十年法律第九十四号)第九十五条第一項(船舶先取特権)又は油濁損害賠償保険法(昭和五十年法律第九十五号)第四十条第一項(船舶先取特権)の先取特権
五 国税に優先する債権のため又は国税のために動産を保存した者の先取特権
2 前項第三号から第五号まで(同項第三号に掲げる先取特権で登記をしたものを除く。)の規定は、その先取特権者が、強制換価手続において、その執行機関に対しその先取特権がある事実を証明した場合に限り適用する。
(法定納期限等以前にある不動産賃貸の先取特権等の優先)
第二十条
1 次に掲げる先取特権が納税者の財産上に国税の法定納期限等以前からあるとき、又は納税者がその先取特権のある財産を譲り受けたときは、その国税は、その換価代金につき、その先取特権により担保される債権に次いで徴収する。
一 不動産賃貸の先取特権その他質権と同一の順位又はこれらに優先する順位の動産に関する特別の先取特権(前条第一項第三号から第五号までに掲げる先取特権を除く。)
二 不動産売買の先取特権
三 借地借家法(平成三年法律第九十号)第十二条(借地権設定者の先取特権)、罹災都市借地借家臨時処理法(昭和二十一年法律第十三号)第八条(賃貸人等の先取特権)又は接収不動産に関する借地借家臨時処理法(昭和三十一年法律第百三十八号)第七条(賃貸人等の先取特権)に規定する先取特権
四 登記をした一般の先取特権
2 前条第二項の規定は、前項第一号に掲げる先取特権について準用する。
(留置権の優先)
第二十一条
1 留置権が納税者の財産上にある場合において、その財産を滞納処分により換価したときは、その国税は、その換価代金につき、その留置権により担保されていた債権に次いで徴収する。この場合において、その債権は、質権、抵当権、先取特権又は第二十三条第一項(法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先)に規定する担保のための仮登記により担保される債権に先立つて配当するものとする。
2 前項の規定は、その留置権者が、滞納処分の手続において、その行政機関等に対し、その留置権がある事実を証明した場合に限り適用する。
(担保権付財産が譲渡された場合の国税の徴収)
第二十二条
1 納税者が他に国税に充てるべき十分な財産がない場合において、その者がその国税の法定納期限等後に登記した質権又は抵当権を設定した財産を譲渡したときは、納税者の財産につき滞納処分を執行してもなおその国税に不足すると認められるときに限り、その国税は、その質権者又は抵当権者から、これらの者がその譲渡に係る財産の強制換価手続において、その質権又は抵当権によつて担保される債権につき配当を受けるべき金額のうちから徴収することができる。
2 前項の規定により徴収することができる金額は、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した額をこえることができない。
一 前項の譲渡に係る財産の換価代金から同項に規定する債権が配当を受けるべき金額
二 前号の財産を納税者の財産とみなし、その財産の換価代金につき前項の国税の交付要求があつたものとした場合に同項の債権が配当を受けるべき金額
3 税務署長は、第一項の規定により国税を徴収するため、同項の質権者又は抵当権者に代位してその質権又は抵当権を実行することができる。
4 税務署長は、第一項の規定により国税を徴収しようとするときは、その旨を質権者又は抵当権者に通知しなければならない。
5 税務署長は、第一項の譲渡に係る財産につき強制換価手続が行われた場合には、同項の規定により徴収することができる金額の国税につき、執行機関に対し、交付要求をすることができる。
 第四節 国税と仮登記又は譲渡担保に係る債権との調整
(法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先等)
第二十三条
1 国税の法定納期限等以前に納税者の財産につき、その者を登記義務者(登録義務者を含む。)として、仮登記担保契約に関する法律(昭和五十三年法律第七十八号)第一条(趣旨)に規定する仮登記担保契約に基づく仮登記又は仮登録(以下「担保のための仮登記」という。)がされているときは、その国税は、その換価代金につき、その担保のための仮登記により担保される債権に次いで徴収する。
2 担保のための仮登記がされている納税者の財産上に、第十九条第一項各号(不動産保存の先取特権等の優先)に掲げる先取特権があるとき、国税の法定納期限等以前から第二十条第一項各号(法定納期限等以前にある不動産賃貸の先取特権等の優先)に掲げる先取特権があるとき、又は国税の法定納期限等以前に質権若しくは抵当権が設定され、若しくは担保のための仮登記がされているときは、その国税は、仮登記担保契約に関する法律第三条第一項(清算金)(同法第二十条(土地等の所有権以外の権利を目的とする契約への準用)において準用する場合を含む。)に規定する清算金に係る換価代金につき、同法第四条第一項(物上代位)(同法第二十条において準用する場合を含む。)の規定により権利が行使されたこれらの先取特権、質権及び抵当権並びに同法第四条第二項(同法第二十条において準用する場合を含む。)において準用する同法第四条第一項の規定により権利が行使された同条第二項に規定する後順位の担保仮登記により担保される債権に次いで徴収する。
3 第十七条第一項(譲受前に設定された質権又は抵当権の優先)の規定は、納税者が担保のための仮登記がされている財産を譲り受けたときについて、前条(第三項を除く。)の規定は、納税者が他に国税に充てるべき十分な財産がない場合において、その者がその国税の法定納期限等後に担保のための仮登記をした財産を譲渡したときについて、それぞれ準用する。
4 仮登記担保契約に関する法律第一条に規定する仮登記担保契約で、消滅すべき金銭債務がその契約の時に特定されていないものに基づく仮登記及び仮登録は、国税の滞納処分においては、その効力を有しない。
(譲渡担保権者の物的納税責任)
第二十四条
1 納税者が国税を滞納した場合において、その者が譲渡した財産でその譲渡により担保の目的となつているもの(以下「譲渡担保財産」という。)があるときは、その者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときに限り、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができる。
2 税務署長は、前項の規定により徴収しようとするときは、譲渡担保財産の権利者(以下「譲渡担保権者」という。)に対し、徴収しようとする金額その他必要な事項を記載した書面により告知しなければならない。この場合においては、その者の住所又は居所(事務所及び事業所を含む。以下同じ。)の所在地を所轄する税務署長及び納税者に対しその旨を通知しなければならない。
3 前項の告知書を発した日から十日を経過した日までにその徴収しようとする金額が完納されていないときは、徴収職員は、譲渡担保権者を第二次納税義務者とみなして、その譲渡担保財産につき滞納処分を執行することができる。この場合においては、第三十二条第三項から第五項まで(第二次納税義務の通則)及び第九十条第三項(換価の制限)の規定を準用する。
4 譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押は、同項の要件に該当する場合に限り、前項の規定による差押として滞納処分を続行することができる。この場合において、税務署長は、遅滞なく、第二項の告知及び通知をしなければならない。
5 第二項の規定による告知又は前項の規定の適用を受ける差押をした後、納税者の財産の譲渡により担保される債権が債務不履行その他弁済以外の理由により消滅した場合(譲渡担保財産につき買戻、再売買の予約その他これらに類する契約を締結している場合において、期限の経過その他その契約の履行以外の理由によりその契約が効力を失つたときを含む。)においても、なお譲渡担保財産として存続するものとみなして、第三項の規定を適用する。
6 第一項の規定は、国税の法定納期限等以前に、担保の目的でされた譲渡に係る権利の移転の登記がある場合又は譲渡担保権者が国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となつている事実を、その財産の売却決定の前日までに、証明した場合には、適用しない。この場合においては、第十五条第二項後段及び第三項(優先質権の証明)の規定を準用する。
7 第一項の規定の適用を受ける譲渡担保権者は、第十章(罰則)の規定の適用については、納税者とみなす。
(譲渡担保財産の換価の特例等)
第二十五条
1 買戻しの特約のある売買の登記、再売買の予約の請求権の保全のための仮登記(仮登録を含む。以下同じ。)その他これに類する登記(以下この条において「買戻権の登記等」という。)がされている譲渡担保財産でその買戻権の登記等の権利者が滞納者であるときは、その差し押さえた買戻権の登記等に係る権利及び前条第三項の規定により差し押さえたその買戻権の登記等のある譲渡担保財産を一括して換価することができる。
2 前条及び前項に規定するもののほか、譲渡担保財産からする納税者の国税の徴収に関し必要な事項は、政令で定める。
 第五節 国税及び地方税等と私債権との競合の調整
(国税及び地方税等と私債権との競合の調整)
第二十六条
 強制換価手続において国税が他の国税、地方税又は公課(以下この条において「地方税等」という。)及びその他の債権(以下この条において「私債権」という。)と競合する場合において、この章又は地方税法その他の法律の規定により、国税が地方税等に先だち、私債権がその地方税等におくれ、かつ、当該国税に先だつとき、又は国税が地方税等におくれ、私債権がその地方税等に先だち、かつ、当該国税におくれるときは、換価代金の配当については、次に定めるところによる。
一 第九条(強制換価手続の費用の優先)若しくは第十条(直接の滞納処分費の優先)に規定する費用若しくは滞納処分費、第十一条(強制換価の場合の消費税等の優先)に規定する国税(地方税法の規定によりこれに相当する優先権を有する地方税を含む。)、第二十一条(留置権の優先)の規定の適用を受ける債権、第五十九条第三項若しくは第四項(前払賃料の優先)(第七十一条第四項(自動車等についての準用規定)において準用する場合を含む。)の規定の適用を受ける債権又は第十九条(不動産保存の先取特権等の優先)の規定の適用を受ける債権があるときは、これらの順序に従い、それぞれこれらに充てる。
二 国税及び地方税等並びに私債権(前号の規定の適用を受けるものを除く。)につき、法定納期限等(地方税又は公課のこれに相当する納期限等を含む。)又は設定、登記、譲渡若しくは成立の時期の古いものからそれぞれ順次にこの章又は地方税法その他の法律の規定を適用して国税及び地方税等並びに私債権に充てるべき金額の総額をそれぞれ定める。
三 前号の規定により定めた国税及び地方税等に充てるべき金額の総額を第八条(国税優先の原則)若しくは第十二条から第十四条まで(差押先着手による国税の優先等)の規定又は地方税法その他の法律のこれらに相当する規定により、順次国税及び地方税等に充てる。
四 第二号の規定により定めた私債権に充てるべき金額の総額を民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法律の規定により順次私債権に充てる。
第三章 第二次納税義務
第二十七条
から第三十一条まで 削除
(第二次納税義務の通則)
第三十二条
1 税務署長は、納税者の国税を第二次納税義務者から徴収しようとするときは、その者に対し、政令で定めるところにより、徴収しようとする金額、納付の期限その他必要な事項を記載した納付通知書により告知しなければならない。この場合においては、その者の住所又は居所の所在地を所轄する税務署長に対しその旨を通知しなければならない。
2 第二次納税義務者がその国税を前項の納付の期限までに完納しないときは、税務署長は、次項において準用する国税通則法第三十八条第一項及び第二項(繰上請求)の規定による請求をする場合を除き、納付催告書によりその納付を督促しなければならない。この場合においては、その納付催告書は、国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、その納付の期限から五十日以内に発するものとする。
3 国税通則法第三十八条第一項及び第二項、同法第四章第一節(納税の猶予)並びに同法第五十五条(納付委託)の規定は、第一項の場合について準用する。
4 第二次納税義務者の財産の換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるときを除き、第一項の納税者の財産を換価に付した後でなければ、行うことができない。
5 この章の規定は、第二次納税義務者から第一項の納税者に対してする求償権の行使を妨げない。
(無限責任社員の第二次納税義務)
第三十三条
 合名会社又は合資会社が国税を滞納した場合において、その財産につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められるときは、その社員(合資会社にあつては、無限責任社員)は、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。この場合において、その社員は、連帯してその責に任ずる。
(清算人等の第二次納税義務)
第三十四条
 法人が解散した場合において、その法人に課されるべき、又はその法人が納付すべき国税を納付しないで残余財産の分配又は引渡をしたときは、その法人に対し滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合に限り、清算人及び残余財産の分配又は引渡を受けた者(前条の規定の適用を受ける者を除く。以下この条において同じ。)は、その滞納に係る国税につき第二次納税義務を負う。ただし、清算人は分配又は引渡をした財産の価額の限度において、残余財産の分配又は引渡を受けた者はその受けた財産の価額の限度において、それぞれその責に任ずる。
(同族会社の第二次納税義務)
第三十五条
1 滞納者がその者を判定の基礎となる株主又は社員として選定した場合に法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第十号(同族会社の定義)に規定する会社に該当する会社(以下「同族会社」という。)の株式又は出資を有する場合において、その株式又は出資につき次に掲げる理由があり、かつ、その者の財産(当該株式又は出資を除く。)につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときは、その有する当該株式又は出資(当該滞納に係る国税の法定納期限(国税に関する法律の規定により国税の還付金の額に相当する税額を減少させる修正申告又は更正により納付すべき国税並びに当該国税に係る附帯税及び滞納処分費については、その還付の基因となつた申告、更正又は決定があつた日とし、過怠税については、その納税義務の成立の日とする。以下この章において同じ。)の一年以上前に取得したものを除く。)の価額の限度において、当該会社は、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。
一 その株式又は出資を再度換価に付してもなお買受人がないこと。
二 その株式若しくは出資の譲渡につき法律若しくは定款に制限があり、又は株券若しくは端株券の発行がないため、これらを譲渡することにつき支障があること。
2 前項の同族会社の株式又は出資の価額は、第三十二条第一項(第二次納税義務者への告知)の納付通知書を発する時における当該会社の資産の総額から負債の総額を控除した額をその株式又は出資の数で除した額を基礎として計算した額による。
3 第一項の同族会社であるかどうかの判定は、第三十二条第一項の納付通知書を発する時の現況による。
(実質課税額等の第二次納税義務)
第三十六条
 滞納者の次の各号に掲げる国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められるときは、第一号に定める者にあつては同号に規定する収益が生じた財産(その財産の異動により取得した財産及びこれらの財産に基因して取得した財産(以下この条、次条及び第三十八条(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)において「取得財産」という。)を含む。)、第二号に定める者にあつては同号に規定する貸付けに係る財産(取得財産を含む。)、第三号に定める者にあつてはその受けた利益の額を限度として、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。
一 所得税法第十二条(実質所得者課税の原則)若しくは第百五十八条(事業所の所得の帰属の推定)又は法人税法第十一条(実質所得者課税の原則)の規定により課された国税 その国税の賦課の基因となつた収益が法律上帰属するとみられる者
二 消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第十三条(資産の譲渡等を行つた者の実質判定)の規定により課された国税(同法第二条第一項第八号(定義)に規定する貸付けに係る部分に限る。)その国税の賦課の基因となつた当該貸付けを法律上行つたとみられる者
三 所得税法第百五十七条(同族会社等の行為又は計算の否認)、法人税法第百三十二条(同族会社等の行為又は計算の否認)、相続税法第六十四条(同族会社の行為又は計算の否認)又は地価税法(平成三年法律第六十九号)第三十二条(同族会社の行為又は計算の否認)の規定により課された国税 これらの規定により否認された納税者の行為(否認された計算の基礎となつた行為を含む。)につき利益を受けたものとされる者
(共同的な事業者の第二次納税義務)
第三十七条
 次の各号に掲げる者が納税者の事業の遂行に欠くことができない重要な財産を有し、かつ、当該財産に関して生ずる所得が納税者の所得となつている場合において、その納税者がその供されている事業に係る国税を滞納し、その国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められるときは、当該各号に掲げる者は、当該財産(取得財産を含む。)を限度として、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。
一 納税者が個人である場合 その者と生計を一にする配偶者その他の親族でその納税者の経営する事業から所得を受けているもの
二 納税者がその事実のあつた時の現況において同族会社である場合 その判定の基礎となつた株主又は社員
(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)
第三十八条
 納税者がその親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は同族会社(これに類する法人を含む。)で政令で定めるもの(以下「親族その他の特殊関係者」という。)に事業を譲渡し、かつ、その譲受人が同一とみられる場所において同一又は類似の事業を営んでいる場合において、その納税者が当該事業に係る国税を滞納し、その国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められるときは、その譲受人は、譲受財産(取得財産を含む。)を限度として、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。ただし、その譲受が滞納に係る国税の法定納期限より一年以上前にされている場合は、この限りでない。
(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)
第三十九条
 滞納者の国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合において、その不足すると認められることが、当該国税の法定納期限の一年前の日以後に、滞納者がその財産につき行つた政令で定める無償又は著しく低い額の対価による譲渡(担保の目的でする譲渡を除く。)、債務の免除その他第三者に利益を与える処分に基因すると認められるときは、これらの処分により権利を取得し、又は義務を免かれた者は、これらの処分により受けた利益が現に存する限度(これらの者がその処分の時にその滞納者の親族その他の特殊関係者であるときは、これらの処分により受けた利益の限度)において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。
第四十条
 削除
(人格のない社団等に係る第二次納税義務)
第四十一条
1 人格のない社団等が国税を滞納した場合において、これに属する財産(第三者が名義人となつているため、その者に法律上帰属するとみられる財産を除く。)につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められるときは、その第三者は、その法律上帰属するとみられる財産を限度として、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。
2 滞納者である人格のない社団等の財産の払戻又は分配をした場合(第三十四条(清算人等の第二次納税義務)の規定の適用がある場合を除く。)において、当該社団等(前項に規定する第三者を含む。)につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められるときは、当該払戻又は分配を受けた者は、その受けた財産の価額を限度として、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。ただし、その払戻又は分配が滞納に係る国税の法定納期限より一年以上前にされている場合は、この限りでない。
第四章 削除
第四十二条
から第四十六条まで 削除
第五章 滞納処分
 第一節 財産の差押
  第一款 通則
(差押の要件)
第四十七条
1 次の各号の一に該当するときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。
一 滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しないとき。
二 納税者が国税通則法第三十七条第一項各号(督促)に掲げる国税をその納期限(繰上請求がされた国税については、当該請求に係る期限)までに完納しないとき。
2 国税の納期限後前項第一号に規定する十日を経過した日までに、督促を受けた滞納者につき国税通則法第三十八条第一項各号(繰上請求)の一に該当する事実が生じたときは、徴収職員は、直ちにその財産を差し押えることができる。
3 第二次納税義務者又は保証人について第一項の規定を適用する場合には、同項中「督促状」とあるのは、「納付催告書」とする。
(超過差押及び無益な差押の禁止)
第四十八条
1 国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。
2 差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。
(差押財産の選択に当つての第三者の権利の尊重)
第四十九条
 徴収職員は、滞納者(譲渡担保権者を含む。第七十五条、第七十六条及び第七十八条(差押禁止財産)を除き、以下同じ。)の財産を差し押えるに当つては、滞納処分の執行に支障がない限り、その財産につき第三者が有する権利を害さないように努めなければならない。
(第三者の権利の目的となつている財産の差押換)
第五十条
1 質権、抵当権、先取特権(第十九条第一項各号(不動産保存の先取特権等)又は第二十条第一項各号(不動産賃貸の先取特権等)に掲げる先取特権に限る。この項を除き、以下同じ。)、留置権、賃借権その他第三者の権利(これらの先取特権以外の先取特権を除く。以下同じ。)の目的となつている財産が差し押えられた場合には、その第三者は、税務署長に対し、滞納者が他に換価の容易な財産で他の第三者の権利の目的となつていないものを有し、かつ、その財産によりその滞納者の国税の全額を徴収することができることを理由として、その財産の公売公告の日(随意契約による売却をする場合には、その売却の日)までに、その差押換を請求することができる。
2 税務署長は、前項の請求があつた場合において、その請求を相当と認めるときは、その差押換をしなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨をその第三者に通知しなければならない。
3 前項の通知があつた場合において、その通知を受けた第三者が、その通知を受けた日から起算して七日を経過した日までに、第一項の規定により差し押えるべきことを請求した財産の換価をすべきことを申し立てたときは、その財産が換価の著しく困難なものであり、又は他の第三者の権利の目的となつているものであるときを除き、これを差し押え、かつ、換価に付した後でなければ、同項に規定する第三者の権利の目的となつている財産を換価することができない。
4 税務署長は、前項の場合において、同項の申立があつた日から二月以内にその申立に係る財産を差し押え、かつ、換価に付さないときは、第一項に規定する第三者の権利の目的となつている財産の差押を解除しなければならない。ただし、国税に関する法律の規定で換価をすることができないこととするものの適用があるときは、この限りでない。
5 第二項又は前項の差押は、国税に関する法律の規定で新たに滞納処分の執行をすることができないこととするものにかかわらず、することができる。
(相続があつた場合の差押)
第五十一条
1 徴収職員は、被相続人の国税につきその相続人の財産を差し押える場合には、滞納処分の執行に支障がない限り、まず相続財産を差し押えるように努めなければならない。
2 被相続人の国税につき相続人の固有財産が差し押えられた場合には、その相続人は、税務署長に対し、他に換価が容易な相続財産で第三者の権利の目的となつていないものを有しており、かつ、その財産により当該国税の全額を徴収することができることを理由として、その差押換を請求することができる。
3 税務署長は、前項の請求があつた場合において、その請求を相当と認めるときは、その差押換をしなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨を当該相続人に通知しなければならない。この場合においては、前条第五項の規定を準用する。
(果実に対する差押の効力)
第五十二条
1 差押の効力は、差し押えた財産(以下「差押財産」という。)から生ずる天然果実に及ぶ。ただし、滞納者又は第三者が差押財産の使用又は収益をすることができる場合には、その財産から生ずる天然果実(その財産の換価による権利の移転の時までに収取されない天然果実を除く。)については、この限りでない。
2 差押の効力は、差押財産から生ずる法定果実に及ばない。ただし、債権を差し押えた場合における差押後の利息については、この限りでない。
(担保のための仮登記がある財産に対する差押えの効力)
第五十二条の二
 仮登記担保契約に関する法律第十五条(強制競売等の場合の担保仮登記)(同法第二十条(土地等の所有権以外の権利を目的とする契約への準用)において準用する場合を含む。)の規定は、担保のための仮登記がある財産が差し押さえられた場合について準用する。この場合において、同法第十五条中「その決定」とあるのは「その差押え」と、「申立てに基づく」とあるのは「ものである」と続み替えるものとする。
(保険に附されている財産に対する差押の効力)
第五十三条
1 差押財産が損害保険に附され、又は中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の七の二第一項第一号(火災共済協同組合の火災共済事業)に規定する共済その他法律の規定による共済でこれに類するものの目的となつているときは、その差押の効力は、保険金又は共済金の支払を受ける権利に及ぶ。ただし、財産を差し押えた旨を保険者又は共済事業者に通知しなければ、その差押をもつてこれらの者に対抗することができない。
2 徴収職員が差押に係る前項の保険金又は共済金の支払を受けた場合において、その財産がその保険又は共済に係る事故が生じた時に先取特権、質権又は抵当権の目的となつていたときは、その先取特権者、質権者又は抵当権者は、民法第三百四条第一項ただし書(先取特権の物上代位)その他これらの権利の行使のためその保険金又は共済金の支払を受ける権利をその支払前に差し押えることを必要とする規定の適用については、その支払前にその差押をしたものとみなす。
(差押調書)
第五十四条
 徴収職員は、滞納者の財産を差し押えたときは、差押調書を作成し、その財産が次に掲げる財産であるときは、その謄本を滞納者に交付しなければならない。
一 動産(第七十条(船舶又は航空機の差押)又は第七十一条(自動車又は建設機械の差押)の規定の適用を受ける財産及び無記名債権を除く。以下同じ。)又は有価証券
二 債権(電話加入権、賃借権その他取り立てることができない債権を除く。以下この章において同じ。)
三 第七十三条(電話加入権等の差押)の規定の適用を受ける財産
(質権者等に対する差押えの通知)
第五十五条
 次の各号に掲げる財産を差し押さえたときは、税務署長は、当該各号に掲げる者のうち知れている者に対し、その旨その他必要な事項を通知しなければならない。
一 質権、抵当権、先取特権、留置権、賃借権その他の第三者の権利(担保のための仮登記に係る権利を除く。)の目的となつている財産 これらの権利を有する者
二 仮登記がある財産 仮登記の権利者
三 仮差押え又は仮処分がされている財産 仮差押え又は仮処分をした保全執行裁判所又は執行官
  第二款 動産又は有価証券の差押
(差押の手続及び効力発生時期等)
第五十六条
1 動産又は有価証券の差押は、徴収職員がその財産を占有して行う。
2 前項の差押の効力は、徴収職員がその財産を占有した時に生ずる。
3 徴収職員が金銭を差し押えたときは、その限度において、滞納者から差押に係る国税を徴収したものとみなす。
(有価証券に係る債権の取立)
第五十七条
1 有価証券を差し押えたときは、徴収職員は、その有価証券に係る金銭債権の取立をすることができる。
2 徴収職員が前項の規定により金銭を取り立てたときは、その限度において、滞納者から差押に係る国税を徴収したものとみなす。
(第三者が占有する動産等の差押手続)
第五十八条
1 滞納者の動産又は有価証券でその親族その他の特殊関係者以外の第三者が占有しているものは、その第三者が引渡を拒むときは、差し押えることができない。
2 前項の動産又は有価証券がある場合において、同項の第三者がその引渡を拒むときは、滞納者が他に換価が容易であり、かつ、その滞納に係る国税の全額を徴収することができる財産を有しないと認められるときに限り、税務署長は、同項の第三者に対し、期限を指定して、当該動産又は有価証券を徴収職員に引き渡すべきことを書面により命ずることができる。この場合において、その命令をした税務署長は、その旨を滞納者に通知しなければならない。
3 前項の命令に係る動産若しくは有価証券が徴収職員に引き渡されたとき、又は前項の命令を受けた第三者が指定された期限までに徴収職員にその引渡をしないときは、徴収職員は、第一項の規定にかかわらず、その動産又は有価証券を差し押えることができる。
(引渡命令を受けた第三者等の権利の保護)
第五十九条
1 前条第二項の規定により動産の引渡を命ぜられた第三者が、滞納者との契約による賃借権、使用賃借権その他動産の使用又は収益をする権利に基きその命令に係る動産を占有している場合において、その引渡をすることにより占有の目的を達することができなくなるときは、その第三者は、その占有の基礎となつている契約を解除することができる。この場合において、その第三者は、当該契約の解除により滞納者に対して取得する損害賠償請求権については、その動産の売却代金の残余のうちから配当を受けることができる。
2 徴収職員は、前条第二項の規定により動産の引渡を命ぜられた第三者の請求がある場合には、その第三者が前項前段の規定により契約を解除したときを除き、その動産の占有の基礎となつている契約の期間内(その期限がその動産を差し押えた日から三月を経過した日より遅いときは、その日まで)は、その第三者にその使用又は収益をさせなければならない。
3 前条第二項の規定により動産の引渡を命ぜられた第三者が賃貸借契約に基きこれを占有している場合において、第一項前段の規定によりその契約を解除し、かつ、前条第二項の命令があつた時前にその後の期間分の借賃を支払つているときは、その第三者は、税務署長に対し、その動産の売却代金のうちから、その借賃に相当する金額で同条第三項の規定による差押の日後の期間に係るもの(その金額が三月分に相当する金額をこえるときは、当該金額)の配当を請求することができる。この場合において、その請求があつた金額は、第八条(国税優先の原則)の規定にかかわらず、その滞納処分に係る滞納処分費に次ぎ、かつ、その動産上の留置権により担保されていた債権に次ぐものとして、配当することができる。
4 前三項の規定は、前条第一項に規定する動産の引渡を拒まなかつた同項に規定する第三者について準用する。
(差し押えた動産等の保管)
第六十条
1 徴収職員は、必要があると認めるときは、差し押えた動産又は有価証券を滞納者又はその財産を占有する第三者に保管させることができる。ただし、その第三者に保管させる場合には、その運搬が困難であるときを除き、その者の同意を受けなければならない。
2 前項の規定により滞納者又は第三者に保管させたときは、第五十六条第二項(動産等の差押の効力発生時期)の規定にかかわらず、封印、公示書その他差押を明白にする方法により差し押えた旨を表示した時に、差押の効力が生ずる。
(差し押えた動産の使用収益)
第六十一条
1 徴収職員は、前条第一項の規定により滞納者に差し押えた動産を保管させる場合において、国税の徴収上支障がないと認めるときは、その使用又は収益を許可することができる。
2 前項の規定は、差し押えた動産につき使用又は収益をする権利を有する第三者にその動産を保管させる場合について準用する。
  第三款 債権の差押
(差押の手続及び効力発生時期)
第六十二条
1 債権の差押は、第三債務者に対する債権差押通知書の送達により行う。
2 徴収職員は、債権を差し押えるときは、債務者に対しその履行を滞納者に対し債権の取立その他の処分を禁じなければならない。
3 第一項の差押の効力は、債権差押通知書が第三債務者に送達された時に生ずる。
4 税務署長は、債権でその移転につき登録を要するものを差し押えたときは、差押の登録を関係機関に嘱託しなければならない。
(差し押える債権の範囲)
第六十三条
 徴収職員は、債権を差し押えるときは、その全額を差し押えなければならない。ただし、その全額を差し押える必要がないと認めるときは、その一部を差し押えることができる。
(抵当権等により担保される債権の差押)
第六十四条
 抵当権又は登記することができる質権若しくは先取特権によつて担保される債権を差し押えたときは、税務署長は、その債権の差押の登記を関係機関に嘱託することができる。この場合において、その嘱託をした税務署長は、その抵当権若しくは質権が設定されている財産又は先取特権がある財産の権利者(第三債務者を除く。)に差し押えた旨を通知しなければならない。
(債権証書の取上げ)
第六十五条
 徴収職員は、債権の差押のため必要があるときは、その債権に関する証書を取り上げることができる。この場合においては、第五十六条第一項(動産等の差押手続)及び第五十八条(第三者が占有する動産等の差押手続)の規定を準用する。
(継続的な収入に対する差押の効力)
第六十六条
 給料若しくは年金又はこれらに類する継続収入の債権の差押の効力は、徴収すべき国税の額を限度として、差押後に収入すべき金額に及ぶ。
(差し押えた債権の取立)
第六十七条
1 徴収職員は、差し押えた債権の取立をすることができる。
2 徴収職員は、前項の規定により取り立てたものが金銭以外のものであるときは、これを差し押えなければならない。
3 徴収職員が第一項の規定により金銭を取り立てたときは、その限度において、滞納者から差押に係る国税を徴収したものとみなす。
4 国税通則法第五十五条第一項から第三項まで(納付委託)の規定は、第一項の取立をする場合において、第三債務者が徴収職員に対し、その債権の弁済の委託をしようとするときに準用する。ただし、その証券の取り立てるべき期限が差し押えた債権の弁済期後となるときは、第三債務者は、滞納者の承認を受けなければならない。
  第四款 不動産等の差押
(不動産の差押の手続及び効力発生時期)
第六十八条
1 不動産(地上権その他不動産を目的とする物権(所有権を除く。)工場財団、鉱業権その他不動産とみなされ、又は不動産に関する規定の準用がある財産並びに鉄道財団、軌道財団及び運河財団を含む。以下同じ。)の差押は、滞納者に対する差押書の送達により行う。
2 前項の差押の効力は、その差押書が滞納者に送達された時に生ずる。
3 税務署長は、不動産を差し押えたときは、差押の登記を関係機関に嘱託しなければならない。
4 前項の差押の登記が差押書の送達前にされた場合には、第二項の規定にかかわらず、その差押の登記がされた時に差押の効力が生ずる。
5 鉱業権の差押の効力は、第二項及び前項の規定にかかわらず、差押の登録がされた時に生ずる。
(差押不動産の使用収益)
第六十九条
1 滞納者は、差し押えられた不動産につき、通常の用法に従い、使用又は収益をすることができる。ただし、税務署長は、不動産の価値が著しく減耗する行為がされると認められるときに限り、その使用又は収益を制限することができる。
2 前項の規定は、差し押えられた不動産につき使用又は収益をする権利を有する第三者について準用する。
(船舶又は航空機の差押)
第七十条
1 登記される船舶(以下「船舶」という。)又は航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)の規定により登録を受けた飛行機若しくは回転翼航空機(以下「航空機」という。)の差押については、第六十八条第一項から第四項まで(不動産の差押の手続及び効力発生時期)の規定を準用する。
2 税務署長は、滞納処分のため必要があるときは、船舶又は航空機を一時停泊させることができる。ただし、発航の準備が終つた船舶又は航空機については、この限りでない。
3 徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、船舶又は航空機の監守及び保存のため必要な処分をすることができる。
4 前項の処分が差押書の送達前にされた場合には、第一項において準用する第六十八条第二項の規定にかかわらず、その処分をした時に差押の効力が生ずる。
5 税務署長は、停泊中の船舶若しくは航空機を差し押えた場合又は第二項の規定により船舶若しくは航空機を停泊させた場合において、営業上の必要その他相当の理由があるときは、滞納者並びにこれらにつき交付要求をした者及び抵当権その他の権利を有する者の申立により、航行を許可することができる。
(自動車又は建設機械の差押)
第七十一条
1 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)の規定により登録を受けた自動車(以下「自動車」という。)又は建設機械抵当法(昭和二十九年法律第九十七号)の規定により登記を受けた建設機械(以下「建設機械」という。)の差押については、第六十八条第一項から第四項まで(不動産の差押の手続及び効力発生時期)の規定を準用する。
2 前条第三項及び第四項の規定は、自動車又は建設機械の差押について準用する。
3 税務署長は、自動車又は建設機械を差し押えた場合には、滞納者に対し、これらの引渡を命じ、徴収職員にこれらの占有をさせることができる。
4 第五十六条第一項(動産等の差押手続)、第五十八条(第三者が占有する動産等の差押手続)及び第五十九条(引渡命令を受けた第三者等の権利の保護)の規定は、前項の規定により徴収職員に自動車又は建設機械を占有させる場合について準用する。
5 徴収職員は、第三項の規定により占有する自動車又は建設機械を滞納者又はこれらを占有する第三者に保管させることができる。この場合においては、封印その他の公示方法によりその自動車又は建設機械が徴収職員の占有に係る旨を明らかにしなければならないものとし、また、次項の規定により自動車の運行又は建設機械の使用を許可する場合を除き、これらの運行又は使用をさせないための適当な措置を講じなければならない。
6 徴収職員は、第三項又は前項の規定により占有し、又は保管させた自動車又は建設機械につき営業上の必要その他相当の理由があるときは、滞納者並びにこれらにつき交付要求をした者及び抵当権その他の権利を有する者の申立により、その運行又は使用を許可することができる。
  第五款 無体財産権等の差押
(特許権等の差押の手続及び効力発生時期)
第七十二条
1 前三款の規定の適用を受けない財産(以下「無体財産権等」という。)のうち特許権、著作権その他第三債務者又はこれに準ずる者(以下「第三債務者等」という。)がない財産の差押は、滞納者に対する差押書の送達により行う。
2 前項の差押の効力は、その差押書が滞納者に送達された時に生ずる。
3 税務署長は、無体財産権等でその権利の移転につき登記を要するものを差し押えたときは、差押の登記を関係機関に嘱託しなければならない。
4 前項の差押の登記が差押書の送達前にされた場合には、第二項の規定にかかわらず、その差押の登記がされた時に差押の効力が生ずる。
5 特許権、実用新案権その他の権利でその処分の制限につき登記をしなければ効力が生じないものとされているものの差押えの効力は、第二項及び前項の規定にかかわらず、差押えの登記がされた時に生ずる。
(電話加入権等の差押の手続及び効力発生時期)
第七十三条
1 無体財産権等のうち電話加入権、合名会社の社員の持分その他第三債務者等がある財産の差押は、第三債務者等に対する差押通知書の送達により行う。
2 前項の差押の効力は、その差押通知書が第三債務者等に送達された時に生ずる。
3 前条第三項及び第四項の規定は、第一項に規定する財産でその権利の移転につき登記を要するもの(次項に規定するものを除く。)の差押について準用する。この場合において、同条第四項中「差押書」とあるのは、「差押通知書」と読み替えるものとする。
4 前条第五項の規定は、特許権についての専用実施権その他の権利でその処分の制限につき登記をしなければ効力が生じないものとされているものの差押えについて準用する。
5 第六十五条(債権証書の取上げ)及び第六十七条(差し押えた債権の取立)の規定は、第一項に規定する財産について準用する。
(差し押えた持分の払戻の請求)
第七十四条
1 税務署長は、中小企業等協同組合法に基く企業組合、信用金庫その他の法人で組合員、会員その他の持分を有する構成員が任意に(脱退につき予告その他一定の手続を要する場合には、これをした後任意に)脱退することができるもの(合名会社及び合資会社を除く。以下この条において「組合等」という。)の組合員、会員その他の構成員である滞納者の持分を差し押えた場合において、当該持分につき次に掲げる理由があり、かつ、その持分以外の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときは、その組合等に対し、その持分の一部の払戻(組合等による譲受が認められている持分については、譲受)を請求することができる。
一 その持分を再度換価に付してもなお買受人がないこと。
二 その持分の譲渡につき法律又は定款に制限があるため、譲渡することができないこと。
2 前項に規定する請求は、三十日(組合等からの脱退につき、法律又は定款の定により、これと異なる一定期間前に組合等に予告することを必要とするものにあつては、その期間)前に組合等にその予告をした後でなければ、行うことができない。
  第六款 差押禁止財産
(一般の差押禁止財産)
第七十五条
1 次に掲げる財産は、差し押えることができない。
一 滞納者及びその者と生計を一にする配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係にある者を含む。)その他の親族(以下「生計を一にする親族」という。)の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
二 滞納者及びその者と生計を一にする親族の生活に必要な三月間の食料及び燃料
三 主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
四 主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
五 技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
六 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
七 仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物
八 滞納者に必要な系譜、日記及びこれに類する書類
九 滞納者又はその親族が受けた勲章その他名誉の章票
十 滞納者又はその者と生計を一にする親族の学習に必要な書籍及び器具
十一 発明又は著作に係るもので、まだ公表していないもの
十二 滞納者又はその者と生計を一にする親族に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
十三 建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品
2 前項第一号(畳及び建具に係る部分に限る。)及び第十三号の規定は、これらの規定に規定する財産をその建物その他の工作物とともに差し押えるときは、適用しない。
(給与の差押禁止)
第七十六条
1 給料、賃金、俸給、歳費、退職年金及びこれらの性質を有する給与に係る債権(以下「給料等」という。)については、次に掲げる金額の合計額に達するまでの部分の金額は、差し押えることができない。この場合において、滞納者が同一の期間につき二以上の給料等の支払を受けるときは、その合計額につき、第四号又は第五号に掲げる金額に係る限度を計算するものとする。
一 所得税法第百八十三条(給与所得に係る源泉徴収義務)、第百九十条(年末調整)、第百九十二条(年末調整に係る不足額の徴収)又は第二百十二条(非居住者等の所得に係る源泉徴収義務)の規定によりその給料等につき徴収される所得税に相当する金額
二 地方税法第三百二十一条の三(個人の市町村民税の特別徴収)その他の規定によりその給料等につき特別徴収の方法によつて徴収される道府県民税及び市町村民税に相当する金額
三 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第七十八条第一項(報酬からの保険料の控除)その他の法令の規定によりその給料等から控除される社会保険料(所得税法第七十四条第二項(社会保険料控除)に規定する社会保険料をいう。)に相当する金額
四 滞納者(その者と生計を一にする親族を含む。)に対し、これらの者が所得を有しないものとして、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第十二条(生活扶助)に規定する生活扶助の給付を行うこととした場合におけるその扶助の基準となる金額で給料等の支給の基礎となつた期間に応ずるものを勘案して政令で定める金額
五 その給料等の金額から前各号に掲げる金額の合計額を控除した金額の百分の二十に相当する金額(その金額が前号に掲げる金額の二倍に相当する金額をこえるときは、当該金額)
2 給料等に基き支払を受けた金銭は、前項第四号及び第五号に掲げる金額の合計額に、その給料等の支給の基礎となつた期間の日数のうちに差押の日から次の支払日までの日数の占める割合を乗じて計算した金額を限度として、差し押えることができない。
3 賞与及びその性質を有する給与に係る債権については、その支払を受けるべき時における給料等とみなして、第一項の規定を適用する。この場合において、同項第四号又は第五号に掲げる金額に係る限度の計算については、その支給の基礎となつた期間が一月であるものとみなす。
4 退職手当及びその性質を有する給与に係る債権(以下「退職手当等」という。)については、次に掲げる金額の合計額に達するまでの部分の金額は、差し押えることができない。
一 所得税法第百九十九条(退職所得に係る源泉徴収義務)又は第二百十二条の規定によりその退職手当等につき徴収される所得税に相当する金額
二 第一項第二号及び第三号中「給料等」とあるのを「退職手当等」として、これらの規定を適用して算定した金額
三 第一項第四号に掲げる金額で同号に規定する期間を一月として算定したものの三倍に相当する金額
四 退職手当等の支給の基礎となつた期間が五年をこえる場合には、そのこえる年数一年につき前号に掲げる金額の百分の二十に相当する金額
5 第一項、第二項及び前項の規定は、滞納者の承諾があるときは適用しない。
(社会保険制度に基づく給付の差押禁止)
第七十七条
1 社会保険制度に基づき支給される退職年金、老齢年金、普通恩給、休業手当金及びこれらの性質を有する給付(法人税法第八十四条第三項(退職年金等積立金の額の計算)に規定する適格退職年金契約に基づいて支給される退職年金を含む。)に係る債権は給料等と、退職一時金、一時恩給及びこれらの性質を有する給付(当該適格退職年金契約に基づいて支給される退職一時金を含む。)に係る債権は退職手当等とそれぞれみなして、前条の規定を適用する。
2 前項に規定する社会保険制度とは、次に掲げる法律に基づく保険、共済又は恩給に関する制度その他政令で定めるこれらに類する制度をいう。
一 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)
二 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)
三 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)
四 恩給法(大正十二年法律第四十八号)(他の法律において準用する場合を含む。)
五 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)
六 地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)
七 私立学校教職員共済組合法(昭和二十八年法律第二百四十五号)
八 農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号)
九 国会議員互助年金法(昭和三十三年法律第七十号)
(条件付差押禁止財産)
第七十八条
 次に掲げる財産(第七十五条第一項第三号から第五号まで(農業等に欠くことができない財産)に掲げる財産を除く。)は、滞納者がその国税の全額を徴収することができる財産で、換価が困難でなく、かつ、第三者の権利の目的となつていないものを提供したときは、その選択により、差押をしないものとする。
一 農業に必要な機械、器具、家畜類、飼料、種子その他の農産物、肥料、農地及び採草放牧地
二 漁業に必要な漁網その他の漁具、えさ、稚魚その他の水産物及び漁船
三 職業又は事業(前二号に規定する事業を除く。)の継続に必要な機械、器具その他の備品及び原材料その他たな卸をすべき資産
  第七款 差押の解除
(差押の解除の要件)
第七十九条
1 徴収職員は、次の各号の一に該当するときは、差押を解除しなければならない。
一 納付、充当、更正の取消その他の理由により差押に係る国税の全額が消滅したとき。
二 差押財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び差押に係る国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の合計額をこえる見込がなくなつたとき。
2 徴収職員は、次の各号の一に該当するときは、差押財産の全部又は一部について、その差押を解除することができる。
一 差押に係る国税の一部の納付、充当、更正の一部の取消、差押財産の値上りその他の理由により、その価額が差押に係る国税及びこれに先だつ他の国税、地方税その他の債権の合計額を著しく超過すると認められるに至つたとき。
二 滞納者が他に差し押えることができる適当な財産を提供した場合において、その財産を差し押えたとき。
(差押の解除の手続)
第八十条
1 差押の解除は、その旨を滞納者に通知することによつて行う。ただし、債権及び第三債務者等のある無体財産権等の差押の解除は、その旨を第三債務者等に通知することによつて行う。
2 徴収職員は、次の各号に掲げる財産の差押を解除したときは、当該各号に掲げる手続をしなければならない。ただし、第一号に規定する除去は、滞納者又はその財産を占有する第三者に行わせることができる。
一 動産又は有価証券 その引渡及び封印、公示書その他差押を明白にするために用いた物の除去
二 債権又は第三債務者等がある無体財産権等 滞納者への通知
3 税務署長は、不動産その他差押の登記をした財産の差押を解除したときは、その登記のまつ消を関係機関に嘱託しなければならない。
4 第二項第一号の動産又は有価証券の引渡は、滞納者に対し、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に掲げる場所において行わなければならない。ただし、差押の時に滞納者以外の第三者が占有していたものについては、滞納者に対し引渡をすべき旨の第三者の申出がない限り、その第三者に引き渡さなければならない。
一 前条第一項各号又は同条第二項第一号の規定に該当する場合のうち、更正の取消その他国の責に帰すべき理由による場合差押の時に存在した場所
二 その他の場合 差押を解除した時に存在する場所
5 第二項第一号及び前項の規定は、債権又は自動車若しくは建設機械の差押を解除した場合において、第六十五条(債権証書の取上げ)(第七十三条第五項(権利証書の取上げ)の規定により準用する場合を含む。)の規定により取り上げた証書又は第七十一条第三項(差し押えた自動車等の占有)の規定により徴収職員が占有した自動車若しくは建設機械があるときについて準用する。
(質権者等への差押解除の通知)
第八十一条
 税務署長は、差押を解除した場合において、第五十五条各号(質権者等に対する差押の通知)に掲げる者のうち知れている者及び交付要求をしている者があるときは、これらの者にその旨その他必要な事項を通知しなければならない。
 第二節 交付要求
(交付要求の手続)
第八十二条
1 滞納者の財産につき強制換価手続が行われた場合には、税務署長は、執行機関に対し、滞納に係る国税につき、交付要求書により交付要求をしなければならない。
2 税務署長は、交付要求をしたときは、その旨を滞納者に通知しなければならない。
3 第五十五条(質権者等に対する差押の通知)の規定は、交付要求をした場合について準用する。
(交付要求の制限)
第八十三条
 税務署長は、滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となつていないものを有しており、かつ、その財産によりその国税の全額を徴収することができると認められるときは、交付要求をしないものとする。
(交付要求の解除)
第八十四条
1 税務署長は、納付、充当、更正の取消その他の理由により交付要求に係る国税が消滅したときは、その交付要求を解除しなければならない。
2 交付要求の解除は、その旨をその交付要求に係る執行機関に通知することによつて行う。
3 第五十五条(質権者等に対する差押の通知)及び第八十二条第二項(交付要求の通知)の規定は、交付要求を解除した場合について準用する。
(交付要求の解除の請求)
第八十五条
1 強制換価手続により配当を受けることができる債権者は、交付要求があつたときは、税務署長に対し、次の各号のいずれにも該当することを理由として、その交付要求を解除すべきことを請求することができる。
一 その交付要求により自己の債権の全部又は一部の弁済を受けることができないこと。
二 滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となつていないものを有しており、かつ、その財産によりその交付要求に係る国税の全額を徴収することができること。
2 税務署長は、前項の請求があつた場合において、その請求を相当と認めるときは、交付要求を解除しなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨をその請求をした者に通知しなければならない。
(参加差押の手続)
第八十六条
1 税務署長は、第四十七条(差押の要件)の規定により差押をすることができる場合において、滞納者の財産で次に掲げるものにつき既に滞納処分による差押がされているときは、当該財産についての交付要求は、第八十二条第一項(交付要求の手続)の交付要求書に代えて参加差押書を滞納処分をした行政機関等に交付してすることができる。
一 動産及び有価証券
二 不動産、船舶、航空機、自動車及び建設機械
三 電話加入権
2 税務署長は、前項の交付要求(以下「参加差押」という。)をしたときは、参加差押通知書により滞納者に通知しなければならない。この場合において、参加差押をした財産が電話加入権であるときは、あわせて第三債務者にその旨を通知しなければならない。
3 税務署長は、第一項第二号に掲げる財産につき参加差押をしたときは、参加差押の登記を関係機関に嘱託しなければならない。
4 第五十五条(質権者等に対する差押の通知)の規定は、参加差押をした場合について準用する。
(参加差押の効力)
第八十七条
1 参加差押をした場合において、その参加差押に係る財産につきされていた滞納処分による差押が解除されたときは、その参加差押(前条第一項第二号に掲げる財産について二以上の参加差押があるときは、そのうち最も先に登記されたものとし、その他の財産について二以上の参加差押があるときは、そのうち最も先にされたものとする。)は、次の各号に掲げる財産の区分に応じ、当該各号に掲げる時にさかのぼつて差押の効力を生ずる。
一 動産及び有価証券 参加差押書が滞納処分による差押をした行政機関等に交付された時
二 不動産(次号に掲げる財産を除く。)、船舶、航空機、自動車及び建設機械 参加差押通知書が滞納者に送達された時(参加差押の登記がその送達前にされた場合には、その登記がされた時)
三 鉱業権 参加差押の登録がされた時
四 電話加入権 参加差押通知書が第三債務者に送達された時
2 税務署長は、差し押えた動産又は有価証券につき参加差押書の交付を受けた場合において、その動産又は有価証券の差押を解除すべきときは、その動産又は有価証券を前項の規定により差押の効力を生ずべき参加差押をした行政機関等に引き渡さなければならない。差し押えた自動車又は建設機械で第七十一条第三項(差し押えた自動車等の占有)の規定により徴収職員が占有しているものについても、また同様とする。
3 参加差押をした税務署長は、その参加差押に係る滞納処分による差押財産が相当期間内に換価に付されないときは、すみやかにその換価をすべきことをその滞納処分をした行政機関等に催告することができる。
(参加差押の制限、解除等)
第八十八条
1 第八十三条から第八十五条まで(交付要求の制限、解除等)の規定は、参加差押について準用する。
2 税務署長は、参加差押の登記をした財産の参加差押を解除したときは、その登記のまつ消を関係機関に嘱託しなければならない。
3 税務署長は、電話加入権の参加差押を解除したときは、その旨を第三債務者に通知しなければならない。
4 前二条及び前三項に定めるもののほか、参加差押に関する手続について必要な事項は、政令で定める。
 第三節 財産の換価
  第一款 通則
(換価する財産の範囲)
第八十九条
1 差押財産(金銭、債権及び第五十七条(有価証券に係る債権の取立)の規定により債権の取立をする有価証券を除く。以下この節において同じ。)は、この節の定めるところにより換価しなければならない。
2 差し押えた債権のうち、その全部又は一部の弁済期限が取立をしようとする時から六月以内に到来しないもの及び取立をすることが著しく困難であると認められるものは、この節の定めるところにより換価することができる。
(換価の制限)
第九十条
1 果実は成熟した後、蚕は繭となつた後でなければ、換価をすることができない。
2 前項の規定は、生産工程中における仕掛品(栽培品その他これらに類するものを含む。)で、完成品となり、又は一定の生産過程に達するのでなければ、その価額が著しく低くて通常の取引に適しないものについて準用する。
3 第二次納税義務者が第三十二条第一項(第二次納税義務の通則)の告知、同条第二項の督促又はこれらに係る国税に関する滞納処分につき訴えを提起したときは、その訴訟の係属する間は、当該国税につき滞納処分による財産の換価をすることができない。保証人が国税通則法第五十二条第二項(担保の処分)の告知、同条第三項の督促若しくはこれらに係る国税に関する滞納処分につき訴えを提起したとき、又は第五十五条第二号(仮登記の権利者に対する差押えの通知)の通知(担保のための仮登記に係るものに限る。)に係る差押えにつき訴えの提起があつたときにおいても、また同様とする。
(自動車等の換価前の占有)
第九十一条
 自動車又は建設機械の換価は、徴収職員が第七十一条第三項(差し押えた自動車等の占有)の規定によりこれらを占有した後に行うものとする。ただし、換価に支障がないと認められるときは、この限りでない。
(買受人の制限)
第九十二条
 滞納者は、換価の目的となつた自己の財産(第二十四条第三項(譲渡担保財産に対する執行)の規定の適用を受ける譲渡担保財産を除く。)を、直接であると間接であるとを問わず、買い受けることができない。国税庁、国税局、税務署又は税関に所属する職員で国税に関する事務に従事する職員は、換価の目的となつた財産について、また同様とする。
(修理等の処分)
第九十三条
 税務署長は、差押財産を換価する場合において、必要があると認めるときは、滞納者の同意を得て、その財産につき修理その他その価額を増加する処分をすることができる。
  第二款 公売
(公売)
第九十四条
1 税務署長は、差押財産を換価するときは、これを公売に付さなければならない。
2 公売は、入札又はせり売の方法により行わなければならない。
(公売公告)
第九十五条
1 税務署長は、差押財産を公売に付するときは、公売の日の少なくとも十日前までに、次に掲げる事項を公告しなければならない。ただし、公売に付する財産(以下「公売財産」という。)が不相応の保存費を要し、又はその価額を著しく減少するおそれがあると認めるときは、この期間を短縮することができる。
一 公売財産の名称、数量、性質及び所在
二 公売の方法
三 公売の日時及び場所
四 売却決定の日時及び場所
五 公売保証金を納付させるときは、その金額
六 買受代金の納付の期限
七 公売財産の買受人について一定の資格その他の要件を必要とするときは、その旨
八 公売財産上に質権、抵当権、先取特権、留置権その他その財産の売却代金から配当を受けることができる権利を有する者は、売却決定の日の前日までにその内容を申し出るべき旨
九 前各号に掲げる事項のほか、公売に関し重要と認められる事項
2 前項の公告は、税務署の掲示場その他税務署内の公衆の見やすい場所に掲示して行う。ただし、他の適当な場所に掲示する方法、官報又は時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲げる方法その他の方法をあわせて用いることを妨げない。
(公売の通知)
第九十六条
1 税務署長は、前条の公告をしたときは、同条第一項各号(第八号を除く。)に掲げる事項及び公売に係る国税の額を滞納者及び次に掲げる者のうち知れている者に通知しなければならない。
一 公売財産につき交付要求をした者
二 公売財産上に質権、抵当権、先取特権、留置権、地上権、賃借権その他の権利を有する者
2 税務署長は、前項の通知をするときは、公売財産の売却代金から配当を受けることができる者のうち知れている者に対し、その配当を受けることができる国税、地方税その他の債権につき第百三十条第一項(債権現在額申立書の提出)に規定する債権現在額申立書をその財産の売却決定をする日の前日までに提出すべき旨の催告をあわせてしなければならない。
(公売の場所)
第九十七条
 公売は、公売財産の所在する市町村(特別区を含む。以下同じ。)において行うものとする。ただし、税務署長が必要と認めるときは、他の場所で行うことができる。
(見積価額の決定)
第九十八条
 税務署長は、公売財産の見積価額を決定しなければならない。この場合において、必要と認めるときは、鑑定人にその評価を委託し、その評価額を参考とすることができる。
(見積価額の公告等)
第九十九条
1 税務署長は、公売財産のうち次の各号に掲げる財産を公売に付するときは、当該各号に掲げる日までに見積価額を公告しなければならない。
一 不動産、船舶及び航空機 公売の日から三日前の日
二 せり売の方法又は第百五条第一項(複数落札入札制)に規定する方法により公売する財産(前号に掲げる財産を除く。) 公売の日の前日(当該財産につき第九十五条第一項ただし書(公売公告)に該当する事実があると認めるときは、公売の日)
三 その他の財産で税務署長が公告を必要と認めるもの 公売の日の前日
2 税務署長は、見積価額を公告しない財産を公売するときは、その見積価額を記載した書面を封筒に入れ、封をして、公売をする場所に置かなければならない。
3 第九十五条第二項の規定は、第一項の公告について準用する。ただし、税務署長は、公売財産が動産であるときに限り、その財産に見積価額を記載した用紙をはりつけて、この公告に代えることができる。
4 税務署長は、第一項の場合において、公売財産上に賃借権(不動産又は船舶に係るものに限る。)又は地上権があるときは、あわせてその存続期限、借賃又は地代その他これらの権利の内容を公告しなければならない。
(公売保証金)
第百条
1 公売財産の入札又はせり売に係る買受の申込(以下「入札等」という。)をしようとする者は、税務署長が公売財産の見積価額の百分の十以上の額により定める公売保証金を現金(国税の納付に使用することができる小切手のうち銀行の振出に係るもの及びその支払保証のあるものを含む。以下第百十五条第三項(買受代金の納付の期限)において同じ。)で納付しなければならない。ただし、税務署長は、公売財産の見積価額が政令で定める金額以下である場合又は買受代金を売却決定の日に納付させるときは、その納付を要しないものとすることができる。
2 公売財産の入札等をしようとする者(以下「入札者等」という。)は、前項ただし書の規定の適用を受ける場合を除き、公売保証金を納付した後でなければ、入札等をすることができない。
3 公売財産の買受人は、その納付した公売保証金を買受代金に充てることができる。ただし、第百十五条第四項(売却決定の取消)の規定により売却決定が取り消されたときは、その公売に係る国税に充て、なお残余があるときは、これを滞納者に交付しなければならない。
4 税務署長は、次の各号に掲げる場合には、遅滞なく、当該各号に規定する公売保証金をその納付した者に返還しなければならない。
一 第百四条から第百五条まで(最高価申込者等の決定)の規定により最高価申込者及び次順位買受申込者(以下この項、第百六条第一項及び第二項(入札又は競り売りの終了の告知等)、第百八条第一項及び第二項(公売実施の適正化のための措置)並びに第百十四条(買受申込み等の取消し)において「最高価申込者等」という。)を定めた場合において、他の入札者等の納付した公売保証金があるとき。
二 入札等の価額の全部が見積価額に達しないことその他の理由により最高価申込者を定めることができなかつた場合において、入札者等の納付した公売保証金があるとき。
三 第百十四条の規定により最高価申込者等又は買受人がその入札等又は買受けを取り消した場合において、その者の納付した公売保証金があるとき。
四 第百十五条第三項(買受代金の納付)の規定により最高価申込者が買受代金を納付した場合において、次順位買受申込者が納付した公売保証金があるとき。
五 第百十七条(国税の完納による売却決定の取消し)の規定により売却決定が取り消された場合において、買受人の納付した公売保証金があるとき。
(入札及び開札)
第百一条
1 入札をしようとする者は、その住所又は居所、氏名(法人にあつては、名称。以下同じ。)、公売財産の名称、入札価額その他必要な事項を記載した入札書に封をして、これを徴収職員に差し出さなければならない。
2 入札者は、その提出した入札書の引換、変更又は取消をすることができない。
3 開札をするときは、徴収職員は、入札者を開札に立ち会わせなければならない。ただし、入札者が立ち会わないときは、税務署所属の他の職員を開札に立ち会わせなければならない。
(再度入札)
第百二条
 税務署長は、入札の方法により差押財産を公売する場合において、入札者がないとき、又は入札価額が見積価額に達しないときは、直ちに再度入札をすることができる。この場合においては、見積価額を変更することができない。
(せり売)
第百三条
1 せり売の方法により差押財産を公売するときは、徴収職員は、その財産を指定して、買受の申込を催告しなければならない。
2 徴収職員は、せり売人を選び、差押財産のせり売を取り扱わせることができる。
3 前条の規定は、差押財産のせり売について準用する。
(最高価申込者の決定)
第百四条
1 徴収職員は、見積価額以上の入札者等のうち最高の価額による入札者等を最高価申込者として定めなければならない。
2 前項の場合において、最高の価額の入札者等が二人以上あるときは、更に入札等をさせて定め、なおその入札等の価額が同じときは、くじで定める。
(次順位買受申込者の決定)
第百四条の二
1 徴収職員は、入札の方法により不動産、船舶、航空機、自動車、建設機械、債権又は電話加入権以外の無体財産権等(以下「不動産等」という。)の公売をした場合において、最高価申込者の入札価額(以下この条において「最高入札価額」という。)に次ぐ高い価額(見積価額以上で、かつ、最高入札価額から公売保証金の額を控除した金額以上であるものに限る。第三項において同じ。)による入札者(前条第二項の規定によりくじで最高価申込者を定めた場合には、当該最高価申込者以外の最高の価額の入札者とする。第三項において同じ。)から次順位による買受けの申込みがあるときは、その者を次順位買受申込者として定めなければならない。
2 前項の次順位による買受けの申込みは、最高価申込者の決定後直ちにしなければならない。
3 第一項の場合において、最高入札価額に次ぐ高い価額による入札者が二人以上あるときは、くじで定める。
(複数落札入札制による最高価申込者の決定)
第百五条
1 税務署長は、種類及び価額が同じ財産を一時に多量に入札の方法により公売する場合において、必要があると認めるときは、その財産の数量の範囲内において入札をしようとする者の希望する数量及び単価を入札させ、見積価額以上の単価の入札者のうち、入札価額の高い入札者から順次その財産の数量に達するまでの入札者を最高価申込者とする方法(以下「複数落札入札制」という。)によることができる。この場合において、最高価申込者となるべき最後の順位の入札者が二人以上あるときは、入札数量の多いものを先順位の入札者とし、入札数量が同じときは、くじで先順位の入札者を定める。
2 複数落札入札制による場合において、最高価申込者のうち最後の順位の入札者の入札数量が他の最高価申込者の入札数量とあわせて公売財産の数量をこえるときは、そのこえる入札数量については、入札がなかつたものとする。
3 税務署長は、複数落札入札制による最高価申込者に対して売却決定をした場合において、買受人のうちに買受代金をその納付の期限までに納付しない者があるときは、開札に引き続き売却決定を行い、かつ、直ちに代金を納付させるときに限り、その者に売却決定をした数量の範囲内において、まず、前項の規定により入札がなかつたものとされた入札数量(買受代金を納付しない買受人の同項の規定により入札がなかつたものとされた入札数量を除く。)につき入札があつたものとし、次に、第一項後段の規定により最高価申込者とならなかつた者を最高価申込者とすることができる。この場合においては、同項後段及び前項の規定を準用する。
(入札又は競り売りの終了の告知等)
第百六条
1 徴収職員は、最高価申込者等を定めたときは、直ちにその氏名及び価額(複数落札入札制による場合には、数量及び単価。次項において同じ。)を呼び上げた後、入札又は競り売りの終了を告知しなければならない。
2 前項の場合において、公売した財産が不動産等であるときは、税務署長は、最高価申込者等の氏名、その価額並びに売却決定をする日時及び場所を滞納者及び第九十六条第一項各号(公売の通知)に掲げる者(以下「利害関係人」という。)のうち知れている者に通知するとともに、これらの事項を公告しなければならない。
3 第九十五条第二項(公売公告の方法)の規定は、前項の公告について準用する。
(再公売)
第百七条
1 税務署長は、公売に付しても入札者等がないとき、入札等の価額が見積価額に達しないとき、又は次順位買受申込者が定められていない場合において次条第二項若しくは第百十五条第四項(売却決定の取消し)の規定により売却決定を取り消したときは、更に公売に付するものとする。
2 税務署長は、前項の規定により公売に付する場合において、必要があると認めるときは、公売財産の見積価額の変更、第九十五条第一項本文(公売公告)の期間の短縮その他公売の条件の変更をすることができる。
3 第九十六条(公売の通知)の規定は、第一項の規定による公売が直前の公売期日から十日以内に行われるときは、適用しない。
4 第一項の規定により公売に付する場合における第九十九条第一項第一号(見積価額の公告の日)の規定の適用については、同号中「公売の日から三日前の日」とあるのは、「公売の日の前日」とする。
(公売実施の適正化のための措置)
第百八条
1 税務署長は、次に掲げる者に該当すると認められる事実がある者については、その事実があつた後二年間、公売の場所に入ることを制限し、若しくはその場所から退場させ、又は入札等をさせないことができる。その事実があつた後二年を経過しない者を使用人その他の従業者として使用する者及びこれらの者を入札等の代理人とする者についても、また同様とする。
一 入札等をしようとする者の公売への参加若しくは入札等、最高価申込者等の決定又は買受人の買受代金の納付を妨げた者
二 公売に際して不当に価額を引き下げる目的をもつて連合した者
三 偽りの名義で買受申込みをした者
四 正当な理由がなく、買受代金の納付の期限までにその代金を納付しない買受人
五 故意に公売財産を損傷し、その価額を減少させた者
六 前各号に掲げる者のほか、公売又は随意契約による売却の実施を妨げる行為をした者
2 前項の規定に該当する者の入札等又はその者を最高価申込者等とする決定については、税務署長は、その入札等がなかつたものとし、又はその決定を取り消すことができるものとする。
3 前項の場合において、同項の処分を受けた者の納付した公売保証金があるときは、その公売保証金は、国庫に帰属する。この場合において、第百条第四項(公売保証金の返還)の規定は、適用しない。
4 税務署長は、第一項の規定の適用に関し必要があると認めるときは、入札者等の身分に関する証明を求めることができる。
  第三款 随意契約による売却
(随意契約による売却)
第百九条
1 次の各号の一に該当するときは、税務署長は、差押財産を公売に代えて、随意契約により売却することができる。
一 法令の規定により、公売財産を買い受けることができる者が一人であるとき、その財産の最高価額が定められている場合において、その価額により売却するとき、その他公売に付することが公益上適当でないと認められるとき。
二 取引所の相場がある財産をその日の相場で売却するとき。
三 公売に付しても入札等がないとき、入札等の価額が見積価額に達しないとき、又は第百十五条第四項(売却決定の取消)の規定により売却決定を取り消したとき。
2 第九十八条(見積価額の決定)の規定は、前項第一号又は第三号の規定により売却する場合について準用する。この場合において、同号の規定により売却するときは、その見積価額は、その直前の公売における見積価額を下つてはならない。
3 税務署長は、第一項第三号の規定により売却する差押財産が動産であるときは、あらかじめ公告した価額により売却することができる。
4 第九十六条(公売の通知)及び第百七条第三項(公売通知等の例外)の規定は、差押財産を随意契約により売却する場合について、第百六条第二項及び第三項(最高価申込者等の通知等)の規定は、随意契約により買受人となるべき者を決定した場合について準用する。この場合において、第九十六条第一項中「前条の公告をしたときは」とあるのは「随意契約により売却をする日の七日前までに」と、「通知し」とあるのは「通知書を発し」と読み替えるものとする。
(国による買入れ)
第百十条
 国は、前条第一項第三号の規定に該当する場合において、必要があるときは、同条第二項の規定による見積価額でその財産を買い入れることができる。
  第四款 売却決定
(動産等の売却決定)
第百十一条
 税務署長は、動産、有価証券又は電話加入権を換価に付するときは、公売をする日(随意契約により売却する場合には、その売却する日。以下「公売期日等」という。)において、最高価申込者(随意契約により売却する場合における買受人となるべき者を含む。以下同じ。)に対して売却決定を行う。
(動産等の売却決定の取消)
第百十二条
1 換価をした動産又は有価証券に係る売却決定の取消は、これをもつて買受代金を納付した善意の買受人に対抗することができない。
2 前項の規定により買受人に対抗することができないことにより損害が生じた者がある場合には、その生じたことについてその者に故意又は過失があるときを除き、国は、その通常生ずべき損失の額を賠償する責に任ずる。この場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、その者に対する求償権の行使を妨げない。
(不動産等の売却決定)
第百十三条
1 税務署長は、不動産等を換価に付するときは、公売期日等から起算して七日を経過した日(以下「売却決定期日」という。)において最高価申込者に対して売却決定を行う。
2 次順位買受申込者を定めている場合において、次の各号の一に該当する処分又は行為があつたときは、税務署長は、当該各号に掲げる日において次順位買受申込者に対して売却決定を行う。
一 税務署長が第百八条第二項(最高価申込者等の決定の取消し)の規定により最高価申込者に係る決定の取消しをしたとき。 当該最高価申込者に係る売却決定期日
二 最高価申込者が次条の規定により入札の取消しをしたとき。 当該入札に係る売却決定期日
三 最高価申込者である買受人が次条の規定により買受けの取消しをしたとき。 当該取消しをした日
四 税務署長が第百十五条第四項(売却決定の取消し)の規定により最高価申込者である買受人に係る売却決定の取消しをしたとき。 当該取消しをした日
(買受み申込等の取消し)
第百十四条
 換価に付した財産(以下「換価財産」という。)について最高価申込者等の決定又は売却決定をした場合において、国税通則法第百五条第一項ただし書(不服申立てがあつた場合の処分の制限)その他の法律の規定に基づき滞納処分の続行の停止があつたときは、その停止している間は、その最高価申込者等又は買受人は、その入札等又は買受けを取り消すことができる。
  第五款 代金納付及び権利移転
(買受代金の納付の期限等)
第百十五条
1 換価財産の買受代金の納付の期限は、売却決定の日(買受人が次順位買受申込者である場合にあつては、同日から起算して七日を経過した日)とする。
2 税務署長は、必要があると認めるときは、前項の期限を延長することができる。ただし、その期間は、十日をこえることができない。
3 買受人は、買受代金を第一項の期限までに現金で納付しなければならない。
4 税務署長は、買受人が買受代金を第一項の期限までに納付しないときは、その売却決定を取り消すことができる。
(買受代金の納付の効果)
第百十六条
1 買受人は、買受代金を納付した時に換価財産を取得する。
2 徴収職員が買受代金を受領したときは、その限度において、滞納者から換価に係る国税を徴収したものとみなす。
(国税の完納による売却決定の取消し)
第百十七条
 税務署長は、換価財産に係る国税の完納の事実が買受人の買受代金の納付前に証明されたときは、その売却決定を取り消さなければならない。
(売却決定通知書の交付)
第百十八条
 税務署長は、換価財産、(有価証券を除く。)の買受人がその買受代金を納付したときは、売却決定通知書を買受人に交付しなければならない。ただし、動産については、その交付をしないことができる。
(動産等の引渡)
第百十九条
1 税務署長は、換価した動産、有価証券又は自動車若しくは建設機械(徴収職員が占有したものに限る。)の買受人が買受代金を納付したときは、その財産を買受人に引き渡さなければならない。
2 税務署長は、前項の場合において、その財産を滞納者又は第三者に保管させているときは、売却決定通知書を買受人に交付する方法によりその財産の引渡をすることができる。この場合において、その引渡をした税務署長は、その旨を滞納者又は第三者に通知しなければならない。
(有価証券の裏書等)
第百二十条
1 税務署長は、換価した有価証券を買受人に引き渡す場合において、その証券に係る権利の移転につき滞納者に裏書、名義変更又は流通回復の手続をさせる必要があるときは、期限を指定して、これらの手続をさせなければならない。
2 税務署長は、前項の場合において、滞納者がその期限までに同項の手続をしないときは、滞納者に代つてその手続をすることができる。
(権利移転の登記の嘱託)
第百二十一条
 税務署長は、換価財産で権利の移転につき登記を要するものについては、不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)その他の法令に別段の定がある場合を除き、その買受代金を納付した買受人の請求により、その権利の移転の登記を関係機関に嘱託しなければならない。
(債権等の権利移転の手続)
第百二十二条
1 税務署長は、換価した債権又は第七十三条第一項(電話加入権等の差押手続)に規定する財産の買受人がその買受代金を納付したときは、売却決定通知書を第三債務者等に交付しなければならない。
2 前項の場合において、第六十五条(債権証書の取上げ)(第七十三条第五項(権利証書の取上げ)において準用する場合を含む。)の規定により取り上げた証書があるときは、これを買受人に引き渡さなければならない。
(権利移転に伴う費用の負担)
第百二十三条
 第百二十条第二項(有価証券の裏書等の代位)の規定による手続に関する費用及び第百二十一条(権利移転の登記の嘱託)の規定による嘱託に係る登記の登記免許税その他の費用は買受人の負担とする。
(担保権の消滅又は引受け)
第百二十四条
1 換価財産上の質権、抵当権、先取特権、留置権、担保のための仮登記に係る権利及び担保のための仮登記に基づく本登記(本登録を含む。)でその財産の差押え後にされたものに係る権利は、その買受人が買受代金を納付した時に消滅する。第二十四条(譲渡担保権者の物的納税責任)の規定により譲渡担保財産に対し滞納処分を執行した場合において、滞納者がした再売買の予約の仮登記があるときは、その仮登記により保全される請求権についても、また同様とする。
2 税務署長は、不動産、船舶、航空機、自動車又は建設機械を換価する場合において、次の各号のいずれにも該当するときは、その財産上の質権、抵当権又は先取特権(登記がされているものに限る。以下この条において同じ。)に関する負担を買受人に引き受けさせることができる。この場合において、その引受があつた質権、抵当権又は先取特権については、前項の規定は、適用しない。
一 差押に係る国税がその質権、抵当権又は先取特権により担保される債権に次いで徴収するものであるとき。
二 その質権、抵当権又は先取特権により担保される債権の弁済期限がその財産の売却決定期日から六月以内に到来しないとき。
三 その質権、抵当権又は先取特権を有する者から申出があつたとき。
(換価に伴い消滅する権利の登記のまつ消の嘱託)
第百二十五条
 税務署長は、第百二十一条(権利移転の登記の嘱託)の規定により権利の移転の登記を嘱託する場合において、換価に伴い消滅する権利に係る登記があるときは、あわせてそのまつ消を関係機関に嘱託しなければならない。
(担保責任)
第百二十六条
 民法第五百六十八条(強制競売における担保責任)の規定は、差押財産の換価の場合について準用する。
(法定地上権等の設定)
第百二十七条
1 土地及びその上にある建物又は立木(以下この条において「建物等」という。)が滞納者の所有に属する場合において、その土地又は建物等の差押があり、その換価によりこれらの所有者を異にするに至つたときは、その建物等につき、地上権が設定されたものとみなす。
2 前項の規定は、地上権及びその目的となる土地の上にある建物等が滞納者に属する場合について準用する。この場合において、同項中「地上権が設定された」とあるのは、「地上権の存続期間内において土地の賃貸借をした」と読み替えるものとする。
3 前二項の場合において、その権利の存続期間及び地代は、当事者の請求により裁判所が定める。
 第四節 換価代金等の配当
(配当すべき金銭)
第百二十八条
 税務署長は、次に掲げる金銭をこの節の定めるところにより配当しなければならない。
一 差押財産の売却代金
二 有価証券、債権又は無体財産権等の差押により第三債務者等から給付を受けた金銭
三 差し押えた金銭
四 交付要求により交付を受けた金銭
(配当の原則)
第百二十九条
1 前条第一号又は第二号に掲げる金銭(以下「換価代金等」という。)は、次に掲げる国税その他の債権に配当する。
一 差押えに係る国税
二 交付要求を受けた国税、地方税及び公課
三 差押財産に係る質権、抵当権、先取特権、留置権又は担保のための仮登記により担保される債権
四 第五十九条第一項後段、第三項又は第四項(第三者の損害賠償請求権等への配当)(これらの規定を第七十一条第四項(自動車等についての準用規定)において準用する場合を含む。)の規定の適用を受ける損害賠償請求権又は借賃に係る債権
2 前条第三号又は第四号に掲げる金銭は、それぞれ差押又は交付要求に係る国税に充てる。
3 前二項の規定により配当した金銭に残余があるときは、その残余の金銭は、滞納者に交付する。
4 換価財産上に担保のための仮登記がある場合における当該仮登記により担保される債権に対する配当については、仮登記担保契約に関する法律第十三条(優先弁済請求権)(同法第二十条(土地等の所有権以外の権利を目的とする契約への準用)において準用する場合を含む。)の規定を準用する。
5 換価代金等が第一項各号に掲げる国税その他の債権の総額に不足するときは、税務署長は、第二章(国税と他の債権との調整)、第五十九条第一項後段、第三項及び第四項(これらの規定を第七十一条第四項において準用する場合を含む。)、前項並びに民法その他の法律の規定により配当すべき順位及び金額を定めて配当しなければならない。
6 第一項又は第二項の規定により国税に配当された金銭を国税(附帯税を除く。以下この項において同じ。)及びその延滞税又は利子税に充てるべきときは、その金銭は、まずその国税に充てなければならない。
(債権額の確認方法)
第百三十条
1 前条第一項第二号に掲げる国税、地方税又は公課を徴収する者及び同項第三号又は第四号に掲げる債権を有する者は、売却決定の日の前日までに債権現在額申立書を税務署長に提出しなければならない。
2 税務署長は、前項の債権現在額申立書を調査して前条第一項各号に掲げる国税その他の債権を確認するものとする。この場合において、次に掲げる債権を有する者が債権現在額申立書を提出しないときは、税務署長の調査によりその額を確認するものとする。
一 登記がされた質権、抵当権若しくは先取特権により担保される債権又は担保のための仮登記により担保される債権
二 登記することができない質権若しくは先取特権又は留置権により担保される債権で知れているもの
三 前条第一項第四号に掲げる債権で知れているもの
3 前条第一項第三号に掲げる債権のうち前項第一号及び第二号に掲げる債権以外の債権を有する者が売却決定の時までに債権現在額申立書を提出しないときは、その者は、配当を受けることができない。
(配当計算書)
第百三十一条
 税務署長は、第百二十九条(配当の原則)の規定により配当しようとするときは、政令で定めるところにより、配当を受ける債権、前条第二項の規定により税務署長が確認した金額その他必要な事項を記載した配当計算書を作成し、換価財産の買受代金の納付の日から三日以内に、次に掲げる者に対する交付のため、その謄本を発送しなければならない。
一 債権現在額申立書を提出した者
二 前条第二項後段の規定により金額を確認した債権を有する者
三 滞納者
(換価代金等の交付期日)
第百三十二条
1 税務署長は、前条の規定により配当計算書の謄本を交付するときは、その謄本に換価代金等の交付期日を附記して告知しなければならない。
2 前項の換価代金等の交付期日は、配当計算書の謄本を交付のため発送した日から起算して七日を経過した日としなければならない。ただし、第百二十九条第一項第三号又は第四号(配当を受ける債権)に掲げる債権を有する者で前条第一号又は第二号に掲げる者に該当するものがない場合には、その期間は、短縮することができる。
(換価代金等の交付)
第百三十三条
1 税務署長は、換価代金等の交付期日に配当計算書に従つて換価代金等を交付するものとする。
2 換価代金等の交付期日までに配当計算書に関する異議の申出があつた場合における前項の換価代金等の交付は、次に定めるところによる。
一 その異議が配当計算書に記載された国税、地方税又は公課の配当金額に対するものであるときは、その行政機関等からの通知に従い、配当計算書を更正し、又は直ちに交付するものとする。
二 その異議が配当計算書に記載された国税、地方税又は公課の配当金額を変更させないものである場合において、その異議に関係を有する者及び滞納者がその異議を正当と認めたとき、又はその他の方法で合意したときは、配当計算書を更正して交付するものとする。
三 その異議が配当計算書に記載された国税、地方税又は公課の配当金額を変更させるその他の債権の配当金額に関するものである場合において、その異議に関係を有する者及び滞納者がその異議を正当と認めたとき、又はその他の方法で合意したときは、配当計算書を更正して交付するものとし、その合意がなかつたときは、その異議を参酌して配当計算書を更正して交付し、又は異議につき相当の理由がないと認めるときは、直ちに国税、地方税又は公課の金額を交付するものとする。
3 前項の規定により換価代金等を交付することができない場合、換価代金等を配当すべき債権が停止条件付である場合又は換価代金等を配当すべき債権が仮登記(民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十三条第二項(不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)(同法第五十四条(不動産に関する権利以外の権利についての登記又は登録請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)において準用する場合を含む。)の規定による仮処分による仮登記を含む。)がされた質権、抵当権若しくは先取特権により担保される債権である場合における換価代金等の交付については、政令で定めるところによる。
(換価代金等の供託)
第百三十四条
1 換価代金等を配当すべき債権の弁済期が到来していないときは、その債権者に交付すべき金額は、供託しなければならない。
2 税務署長は、前項の規定により供託したときは、その旨を同項の債権者に通知しなければならない。
(売却決定の取消に伴う措置)
第百三十五条
1 税務署長は、売却決定を取り消したときは、次に掲げる手続をしなければならない。ただし、第百十二条第一項(動産等の売却決定の取消)の規定により、その取消をもつて買受人に対抗することができないときは、この限りでない。
一 徴収職員が受領した換価代金等の買受人への返還
二 第百二十一条(権利移転の登記の嘱託)その他の法令の規定により嘱託した換価に係る権利の移転の登記のまつ消の嘱託
三 第百二十五条(換価に伴い消滅する権利の登記のまつ消の嘱託)その他の法令の規定による嘱託で換価に係るものによりまつ消された質権、抵当権その他の権利の登記の回復の登記の嘱託
2 前項第三号の規定により嘱託した回復の登記に係る質権者、抵当権者又は先取特権者に対し換価代金等から配当した金額がある場合において、これらの者がその金額を返還しないときは、税務署長は、その金額を限度として、これらの者に代位することができる。この場合において、配当した金額がその質権、抵当権又は先取特権により担保される債権の一部であるときは、税務署長は、その代位した債権者の承諾を要しないで、その代位に係る権利を行使し、かつ、その債権者に優先して弁済を受けることができる。
 第五節 滞納処分費
(滞納処分費の範囲)
第百三十六条
 滞納処分費は、国税の滞納処分による財産の差押、交付要求、差押財産の保管、運搬、換価及び第九十三条(修理等の処分)の規定による処分、差し押えた有価証券、債権及び無体財産権等の取立並びに配当に関する費用(通知書その他の書類の送達に要する費用を除く。)とする。
(滞納処分費の配当等の順位)
第百三十七条
 滞納処分費については、その徴収の基因となつた国税に先だつて配当し、又は充当する。
(滞納処分費の納入の告知)
第百三十八条
 国税が完納された場合において、滞納処分費につき滞納者の財産を差し押えようとするときは、税務署長は、政令で定めるところにより、滞納者に対し、納入の告知をしなければならない。
 第六節 雑則
  第一款 滞納処分の効力
(相続等があつた場合の滞納処分の効力)
第百三十九条
1 滞納者の財産について滞納処分を執行した後、滞納者が死亡し、又は滞納者である法人が合併により消滅したときは、その財産につき滞納処分を続行することができる。
2 滞納者の死亡後その国税につき滞納者の名義の財産に対してした差押は、当該国税につきその財産を有する相続人に対してされたものとみなす。ただし、徴収職員がその死亡を知つていたときは、この限りでない。
(仮差押等がされた財産に対する滞納処分の効力)
第百四十条
 滞納処分は、仮差押又は仮処分によりその執行を妨げられない。
  第二款 財産の調査
(質問及び検査)
第百四十一条
 徴収職員は、滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、次に掲げる者に質問し、又はその者の財産に関する帳簿若しくは書類を検査することができる。
一 滞納者
二 滞納者の財産を占有する第三者及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者
三 滞納者に対し債権若しくは債務があり、又は滞納者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者
四 滞納者が株主又は出資者である法人
(捜索の権限及び方法)
第百四十二条
1 徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。
2 徴収職員は、滞納処分のため必要がある場合には、次の各号の一に該当するときに限り、第三者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。
一 滞納者の財産を所持する第三者がその引渡をしないとき。
二 滞納者の親族その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由がある場合において、その引渡をしないとき。
3 徴収職員は、前二項の捜索に際し必要があるときは、滞納者若しくは第三者に戸若しくは金庫その他の容器の類を開かせ、又は自らこれらを開くため必要な処分をすることができる。
(捜索の時間制限)
第百四十三条
1 捜索は、日没後から日出前まではすることができない。ただし、日没前に着手した捜索は、日没後まで継続することができる。
2 旅館、飲食店その他夜間でも公衆が出入することができる場所については、滞納処分の執行のためやむを得ない必要があると認めるに足りる相当の理由があるときは、前項本文の規定にかかわらず、日没後でも、公開した時間内は、捜索することができる。
(捜索の立会人)
第百四十四条
 徴収職員は、捜索をするときは、その捜索を受ける滞納者若しくは第三者又はその同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものを立ち会わせなければならない。この場合において、これらの者が不在であるとき、又は立会に応じないときは、成年に達した者二人以上又は市町村の吏員若しくは警察官を立ち会わせなければならない。
(出入禁止)
第百四十五条
 徴収職員は、捜索、差押又は差押財産の搬出をする場合において、これらの処分の執行のため支障があると認められるときは、これらの処分をする間は、次に掲げる者を除き、その場所に出入することを禁止することができる。
一 滞納者
二 差押に係る財産を保管する第三者及び第百四十二条第二項(第三者に対する捜索)の規定により捜索を受けた第三者
三 前二号に掲げる者の同居の親族
四 滞納者の国税に関する申告、申請その他の事項につき滞納者を代理する権限を有する者
(捜索調書の作成)
第百四十六条
1 徴収職員は、捜索したときは、捜索調書を作成しなければならない。
2 徴収職員は、捜索調書を作成した場合には、その謄本を捜索を受けた滞納者又は第三者及びこれらの者以外の立会人があるときはその立会人に交付しなければならない。
3 前二項の規定は、第五十四条(差押調書)の規定により差押調書を作成する場合には、適用しない。この場合においては、差押調書の謄本を前項の第三者及び立会人に交付しなければならない。
(身分証明書の呈示等)
第百四十七条
1 徴収職員は、この款の規定により質問、検査又は捜索をするときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
2 この款の規定による質問、検査又は捜索の権限は、犯罪捜索のために認められたものと解してはならない。
第六章 滞納処分に関する猶予及び停止等
 第一節 換価の猶予
第百四十八条
から第百五十条まで 削除
(換価の猶予の要件等)
第百五十一条
1 税務署長は、滞納者が次の各号の一に該当すると認められる場合において、その者が納税について誠実な意思を有すると認められるときは、その納付すべき国税(国税通則法第四十六条第一項から第三項まで(納税の猶予)の規定の適用を受けているものを除く。)につき滞納処分による財産の換価を猶予することができる。ただし、その猶予の期間は、一年をこえることができない。
一 その財産の換価を直ちにすることによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあるとき。
二 その財産の換価を猶予することが、直ちにその換価をすることに比して、滞納に係る国税及び最近において納付すべきこととなる国税の徴収上有利であるとき。
2 税務署長は、前項の換価の猶予をする場合において、必要があると認めるときは、差押により滞納者の事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがある財産の差押を猶予し、又は解除することができる。
(換価の猶予に係る分割納付、通知等)
第百五十二条
 国税通則法第四十六条第四項から第七項まで(納税の猶予の場合の分割納付等)、第四十七条第一項(納税の猶予の通知等)、第四十八条第三項及び第四項(果実等による徴収)並びに同法第四十九条第一項及び第三項(納税の猶予の取消し)の規定は、前条第一項の規定による換価の猶予について準用する。この場合において、同法第四十六条第七項中「納税者の申請に基づき、その期間」とあるのは、「その期間」と読み替えるものとする。
 第二節 滞納処分の停止
(滞納処分の停止の要件等)
第百五十三条
1 税務署長は、滞納者につき次の各号の一に該当する事実があると認めるときは、滞納処分の執行を停止することができる。
一 滞納処分を執行することができる財産がないとき。
二 滞納処分を執行することによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
三 その所在及び滞納処分を執行することができる財産がともに不明であるとき。
2 税務署長は、前項の規定により滞納処分の執行を停止したときは、その旨を滞納者に通知しなければならない。
3 税務署長は、第一項第二号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その停止に係る国税について差し押えた財産があるときは、その差押を解除しなければならない。
4 第一項の規定により滞納処分の執行を停止した国税を納付する義務は、その執行の停止が三年間継続したときは、消滅する。
5 第一項第一号の規定により滞納処分の執行を停止した場合において、その国税が限定承認に係るものであるとき、その他その国税を徴収することができないことが明らかであるときは、税務署長は、前項の規定にかかわらず、その国税を納付する義務を直ちに消滅させることができる。
(滞納処分の停止の取消)
第百五十四条
1 税務署長は、前条第一項各号の規定により滞納処分の執行を停止した後三年以内に、その停止に係る滞納者につき同項各号に該当する事実がないと認めるときは、その執行の停止を取り消さなければならない。
2 税務署長は、前項の規定により滞納処分の執行の停止を取り消したときは、その旨を滞納者に通知しなければならない。
第百五十五条
から第百五十七条まで 削除
 第三節 保全担保及び保全差押
(保全担保)
第百五十八条
1 納税者が消費税等(消費税を除く。)を滞納した場合において、その後その者に課すべきその国税の徴収を確保することができないと認められるときは、税務署長は、その国税の担保として、金額及び期限を指定して、その者に国税通則法第五十条各号(担保の種類)に掲げるものの提供を命ずることができる。
2 前項の規定により指定する金額は、その提供を命ずる月の前月分の当該国税の額の三倍に相当する金額(その金額が前年におけるその提供を命ずる月に対応する月分及びその後二月分の当該国税の金額に満たないときは、その額)を限度とする。
3 税務署長は、第一項の規定により当該国税(酒税を除く。)の担保の提供を命じた場合において、納税者がその指定された期限までにその命ぜられた担保を提供しないときは、当該国税に関し、その者の財産で抵当権の目的となるものにつき、同項の規定により指定した金額を限度として抵当権を設定することを書面で納税者に通知することができる。
4 前項の通知があつたときは、その通知を受けた納税者は、同項の抵当権を設定したものとみなす。この場合において、税務署長は、抵当権の設定の登記を関係機関に嘱託しなければならない。
5 前項後段の場合においては、その嘱託に係る書面には、第三項の書面が同項の納税者に到達したことを証する書面を添附しなければならない。この場合においては、不動産登記法第三十一条第一項(登記嘱託書の添附書類等)に規定する登記義務者の承諾書は、添附することを要しない。
6 税務署長は、第一項の規定による担保の提供又は第四項の規定による抵当権の設定(以下「担保の提供等」という。)があつた場合において、第一項の命令に係る国税の滞納がない期間が継続して三月に達したときは、その担保を解除しなければならない。
7 税務署長は、担保の提供等があつた納税者の資力その他の事情の変化により担保の提供等の必要がなくなつたと認めるときは、前項の規定にかかわらず、直ちにその解除をすることができる。
(保全差押)
第百五十九条
1 納税義務があると認められる者が不正に国税を免かれ、又は国税の還付を受けたことの嫌疑に基き、国税犯則取締法(明治三十三年法律第六十七号)の規定による差押若しくは領置又は刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による押収、領置若しくは逮捕を受けた場合において、その処分に係る国税の納付すべき額の確定(申告、更正又は決定による確定をいい、国税通則法第二条第二号(定義)に規定する源泉徴収等による国税についての納税の告知を含む。以下この条において同じ。)後においては当該国税の徴収を確保することができないと認められるときは、税務署長は、当該国税の納付すべき額の確定前に、その確定をすると見込まれる国税の金額のうちその徴収を確保するためあらかじめ滞納処分を執行することを要すると認める金額(以下この条において「保全差押金額」という。)を決定することができる。この場合においては、徴収職員は、その金額を限度として、その者の財産を直ちに差し押えることができる。
2 税務署長は、前項の規定による決定をしようとするときは、あらかじめ、その所属する国税局長の承認を受けなければならない。
3 税務署長は、第一項の規定により保全差押金額を決定するときは、当該保全差押金額を同項に規定する納税義務があると認められる者に書面で通知しなければならない。
4 前項の通知をした場合において、その納税義務があると認められる者がその通知に係る保全差押金額に相当する担保として国税通則法第五十条各号(担保の種類)に掲げるものを提供してその差押をしないことを求めたときは、徴収職員は、その差押をすることができない。
5 徴収職員は、第一号又は第二号に該当するときは第一項の規定による差押を、第三号に該当するときは同号に規定する担保をそれぞれ解除しなければならない。
一 第一項の規定による差押を受けた者が前項に規定する担保を提供して、その差押の解除を請求したとき。
二 第三項の通知をした日から六月を経過した日までに、その差押に係る国税につき納付すべき額の確定がないとき。
三 第三項の通知をした日から六月を経過した日までに、保全差押金額について提供されている担保に係る国税につき納付すべき額の確定がないとき。
6 徴収職員は、第一項の規定による差押えを受けた者又は第四項若しくは前項第一号の担保を提供した者につき、その資力その他の事情の変化により、その差押え又は担保の徴取の必要がなくなつたと認められることとなつたときは、その差押え又は担保を解除することができる。
7 第一項の規定による差押又は第四項若しくは第五項第一号の担保の提供があつた場合において、その差押又は担保の提供に係る国税につき納付すべき額の確定があつたときは、その差押又は担保の提供は、その国税を徴収するためにされたものとみなす。
8 第一項の規定により差し押えた財産は、その差押に係る国税につき納付すべき額の確定があつた後でなければ、換価することができない。
9 第一項の場合において、差し押えるべき財産に不足があると認められるときは、税務署長は、差押に代えて交付要求をすることができる。この場合においては、その交付要求であることを明らかにしなければならない。
10 税務署長は、第一項の規定により差し押えた金銭(有価証券、債権又は無体財産権等の差押により第三債務者等から給付を受けた金銭を含む。)がある場合において、その差押に係る国税につき納付すべき額の確定がされていないときは、これを供託しなければならない。
11 第一項に規定する国税の納付すべき額として確定をした金額が保全差押金額に満たない場合において、その差押を受けた者がその差押により損害を受けたときは、国は、その損害を賠償する責に任ずる。この場合において、その額は、その差押により通常生ずべき損失の額とする。
第百六十条
 削除
第七章 削除
第百六十一条
から第百六十五条まで 削除
第八章 不服審査及び訴訟の特例
第百六十六条
から第百七十条まで 削除
(滞納処分に関する不服申立て等の期限の特例)
第百七十一条
1 滞納処分について次の各号に掲げる処分に関し欠陥があること(第一号に掲げる処分については、これに関する通知が到達しないことを含む。)を理由としてする異議申立て(国税通則法第十一条(災害等による期限の延長)又は第七十七条(異議申立ての期間)の規定により異議申立てをすることができる期間を経過したものを除く。)は、これらの規定にかかわらず、当該各号に掲げる期限まででなければ、することができない。
一 督促 差押に係る通知を受けた日(その通知がないときは、その差押があつたことを知つた日)から二月を経過した日
二 不動産等についての差押 その公売期日等
三 不動産等についての第九十五条(公売公告)の公告(第百九条第四項(随意契約による売却)において準用する第九十六条(公売の通知)の通知を含む。)から売却決定までの処分 換価財産の買受代金の納付の期限
四 換価代金等の配当 換価代金等の交付期日
2 前項の規定は、国税通則法第七十五条第一項第二号ロ若しくは第四項(始審的審査請求)の規定による審査請求又は同法第百十五条第一項第三号(訴えの提起の特例)の規定による訴えの提起について準用する。この場合において、前項中「国税通則法第十一条(災害等による期限の延長)又は第七十七条(異議申立ての期間)の規定により異議申立てをする」とあるのは、当該訴については、「行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第十四条第一項又は第三項(出訴期間)の規定により訴を提起する」と読み替えるものとする。
(差押動産等の搬出の制限)
第百七十二条
 第五十八条第二項(滞納者の動産等を占有する第三者に対する引渡命令)に規定する引渡命令を受けた第三者が、その命令に係る財産が滞納者の所有に属していないことを理由として、その命令につき不服申立てをしたときは、その不服申立ての係属する間は、当該財産の搬出をすることができない。
(不動産の売却決定等の取消の制限)
第百七十三条
1 第百七十一条第一項第三号(公売等に関する不服申立ての期限の特例)に掲げる処分に欠陥があることを理由として滞納処分に関する不服申立てがあつた場合において、その処分は違法ではあるが、次に掲げる場合に該当するときは、税務署長、国税局長若しくは税関長又は国税不服審判所長は、その不服申立てを棄却することができる。
一 その不服申立てに係る処分に続いて行われるべき処分(以下この号において「後行処分」という。)が既に行われている場合において、その不服申立てに係る処分の違法が軽微なものであり、その後行処分に影響を及ぼさせることが適当でないと認められるとき。
二 換価した財産が公共の用に供されている場合その他その不服申立てに係る処分を取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合で、その不服申立てをした者の受ける損害の程度、その損害の賠償の程度及び方法その他一切の事情を考慮してもなおその処分を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認められるとき。
2 前項の規定による不服申立てについての棄却の決定又は裁決には、処分が違法であること及び不服申立てを棄却する理由を明示しなければならない。
3 第一項の規定は、国に対する損害賠償の請求を妨げない。
第九章 雑則
第百七十四条
から第百八十一条まで 削除
(税務署長又は国税局長による滞納処分の執行)
第百八十二条
1 税務署長又は国税局長は、この法律の定めるところにより、その税務署又は国税局所属の徴収職員に滞納処分を執行させることができる。
2 税務署長又は国税局長は、差し押えるべき財産又は差し押えた財産がその管轄区域外にあるとき(国税局長については、その管轄区域内の地域を所轄する税務署長の管轄区域内にあるときを含む。)は、当該税務署長又は国税局長は、その財産の所在地を所轄する税務署長又は国税局長に滞納処分の引継をすることができる。
3 前項の規定により滞納処分の引継があつたときは、引継を受けた税務署長又は国税局長は、遅滞なく、その旨を納税者に通知するものとする。
(税関長による滞納処分の執行)
第百八十三条
1 税関長は、この法律の定めるところにより、その税関所属の徴収職員に滞納処分を執行させることができる。
2 税関長は、差し押えるべき財産又は差し押えた財産がその管轄区域外にあるときは、その財産の所在地を所轄する税関長に滞納処分の引継をすることができる。
3 税関長は、差し押えるべき財産又は差し押えた財産が滞納処分を著しく困難とする地域にあるときは、これらの財産の所在地を所轄する税務署長又は国税局長に滞納処分の引継をすることができる。
4 前条第三項の規定は、前二項の規定により滞納処分の引継があつた場合について準用する。
(国税局長が徴収する場合の読替規定)
第百八十四条
 国税通則法第四十三条第三項若しくは第四十四条第一項(徴収の引継ぎ)の規定により国税局長が徴収の引継ぎを受けた場合又は第百八十二条第二項(滞納処分の引継ぎ)若しくは前条第三項の規定により国税局長が滞納処分の引継ぎを受けた場合におけるこの法律(第百五十九条第二項(保全差押の承認)、第百七十三条(不動産の売却決定の取消しの制限)及び前二条を除く。以下次条において同じ。)の規定の適用については、「税務署長」又は「税務署」とあるのは、「国税局長」又は「国税局」とする。
(税関長が徴収する場合の読替規定)
第百八十五条
 国税通則法第四十三条第一項ただし書(税関長による徴収)の規定により税関長が徴収する場合、同法第四十四条第一項(徴収の引継ぎ)の規定により税関長が徴収の引継ぎを受けた場合又は第百八十三条第二項(滞納処分の引継ぎ)の規定により税関長が滞納処分の引継ぎを受けた場合におけるこの法律の規定の適用については、「税務署長」又は「税務署」とあるのは、「税関長」又は「税関」とする。
(政令への委任)
第百八十六条
 この法律に定めるもののほか、差押調書、交付要求書その他この法律の規定により作成する書類に記載すべき事項、この法律の規定により利害関係人その他の者に通知すべき事項及びこの法律の実施のための手続その他その執行に関し必要な事項は、政令で定める。
第十章 罰則
第百八十七条
1 納税者が滞納処分の執行を免かれる目的でその財産を隠蔽し、損壊し、国の不利益に処分し、又はその財産に係る負担を偽つて増加する行為をしたときは、その者は、三年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 納税者の財産を占有する第三者が納税者に滞納処分の執行を免かれさせる目的で前項の行為をしたときも、また同項と同様とする。
3 情を知つて前二項の行為につき納税者又はその財産を占有する第三者の相手方となつた者は、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第百八十八条
 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第百四十一条(質問及び検査)の規定による徴収職員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をした者
二 第百四十一条の規定による帳簿若しくは書類の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又はその帳簿若しくは書類で偽りの記載をしたものを呈示した者
第百八十九条
 法人の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人、その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前二条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する。
2 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
附則 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、公布の日から起算して九月をこえない範囲内で政令で定める日から施行する。ただし、附則第三条(施行日前の申告期限等の特例)、附則第九条第一項(施行日前の延滞加算税額の特例)、附則第十四条(施行日前に期限が到来する徴収猶予の期限の延長の特例)並びに附則第十五条第一項及び第二項(施行日前の公売等の猶予及び利子税額等の免除の特例)の規定は、公布の日から施行する。
(旧法に基く処分又は手続の効力)
第二条
 この法律の施行前に改正前の国税徴収法(以下「旧法」という。)の規定又はこれに基き若しくはこれを実施するためぬ命令の規定によつてした通知、告知、督促、滞納処分、徴収猶予、担保の徴取、滞納処分の執行の停止又は申告、申請、証明、納付委託、再調査の請求若しくは審査の請求その他の処分又は手続は、この附則に別段の定があるものを除き、この法律の相当規定によつてした相当の処分又は手続とみなす。
(罰則に関する経過措置)
第二十条
 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定により従前の例によることとされるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (昭和三六年三月三一日法律第三五号) 抄
 この法律は、昭和三十六年四月一日から施行する。
附則 (昭和三七年四月二日法律第六七号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、昭和三十七年四月一日から施行する。
(罰則に係る経過措置)
第十八条
 この法律の施行前にした国税に係る違反行為及びこの附則の規定により従前の例によることとされる国税に係るこの法律の施行後にした違反行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (昭和三七年九月八日法律第一五二号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、昭和三十七年十二月一日(以下「施行日」という。)から施行する。
附則 (昭和三九年七月六日法律第一五二号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、昭和三十九年十月一日(以下「施行日」という。)から施行する。
附則 (昭和四〇年三月三一日法律第三六号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、昭和四十年四月一日から施行する。
(罰則に関する経過規定)
第十六条
 施行日前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる国税に係る同日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (昭和四〇年一二月二九日法律第一五六号) 抄
(施行期日)
 この法律は、昭和四十一年二月一日から施行する。
附則 (昭和四一年三月三一日法律第三九号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、昭和四十一年四月一日から施行する。
附則 (昭和四一年七月一日法律第一一一号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (昭和四二年五月三〇日法律第一四号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、昭和四十二年六月一日から施行する。
附則 (昭和四二年五月三一日法律第二三号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、昭和四十二年六月一日から施行する。
附則 (昭和四二年六月一二日法律第三六号) 抄
 この法律は、登録免許税法の施行の日から施行する。
附則 (昭和四五年三月二八日法律第八号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、昭和四十五年五月一日から施行する。
附則 (昭和四六年五月三一日法律第八九号) 抄
(施行期日)
 この法律は、昭和四十六年十二月一日から施行する。
附則 (昭和四六年六月三日法律第九九号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、昭和四十七年四月一日から施行する。
附則 (昭和五〇年一二月二七日法律第九四号) 抄
(施行期日等)
1 この法律は、海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。
2 この法律は、この法律の施行前に発生した事故により生じた損害に基づく債権については適用せず、この法律の施行前に生じた債権及びこの法律の施行前に発生した事故によりこの法律の施行後に生じた損害に基づく債権については、なお従前の例による。
附則 (昭和五〇年一二月二七日法律第九五号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、責任条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。
附則 (昭和五三年四月一八日法律第二五号) 抄
(施行期日等)
第一条
 この法律は、公布の日から施行し、昭和五十三年六月一日以後に原油の採取場から移出される原油及び保税地域から引き取られる原油等に対する石油税について適用する。
附則 (昭和五三年五月一六日法律第四七号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は昭和五十三年十月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に掲げる日から施行する。
一 第二条の改正規定、第三条の改正規定、第四条の改正規定、第九条の改正規定、第十条の改正規定第十条の次に二条を加える改正規定(第十条の二に係る部分に限る。)、第十一条の改正規定、 第十三条の改正規定、
第十五条の改正規定(進学資金を貸し付ける業務に係る部分を除く。)、第十六条第三項の次に二項を加える改正規定(同条第五項に係る部分に限る。)及び附則第二条の改正規定並びに附則第三条から第七条までの規定、
附則第八条から第十条までの規定(進学資金を貸し付ける事業に係る部分を除く。)附則第十三条中租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第二十九条第四項の改正規定及び附則第十四条第一項の規定 公布の日
二 第八条の二の改正規定(勤労者財産形成基金契約に基づき勤労者財産形成基金が行う払込みに充てるために必要な金銭の拠出をする中小企業の事業主に対し助成金を支給する部分に限る。)昭和五十四年四月一日
附則 (昭和五三年六月二〇日法律第七八号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(国税徴収法の一部改正に伴う経過措置)
第五条
 前条の規定による改正後の国税徴収法(以下この条において「新法」という。)の規定は、次項に定めるものを除き、この法律の施行後に仮登記担保契約において土地等の所有権又はその所有権以外の権利を取得するものとされている日(以下この項において「取得日」という。)が到来する当該契約に基づく仮登記及び仮登録について適用し、この法律の施行前に取得日が到来している当該契約に基づく仮登記及び仮登録については、なお従前の例による。
2 新法第百三十三条第三項(仮登記がされた質権、抵当権又は先取特権により担保される債権に関する部分に限る。)の規定は、この法律の施行後に新法第百三十条第一項に規定する債権現在額申立書の提出期限が到来する場合における新法第百二十九条第一項に規定する換価代金等の交付について適用し、この法律の施行前に当該期限が到来する場合における当該換価代金等の交付については、なお従前の例による。
附則 (昭和五四年三月三〇日法律第五号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)の施行の日(昭和五十五年十月一日)から施行する。
(経過措置)
2 この法律の施行前に申し立てられた民事執行、企業担保権の実行及び破産の事件については、なお従前の例による。
3 前項の事件に関し執行官が受ける手数料及び支払又は償還を受ける費用の額については、同項の規定にかかわらず、最高裁判所規則の定めるところによる。
附則 (昭和五六年六月九日法律第七五号) 抄
 この法律は、商法等の一部を改正する法律の施行の日(昭和五十七年十月一日)から施行する。
附則 (昭和五七年七月二三日法律第六九号) 抄
(施行期日等)
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 第十条の規定による改正後の国税徴収法(以下この項において「新法」という。)の規定は、この法律の施行の日以後に新法第九十五条の規定により行う公告に係る公売について適用する。
附則 (昭和五八年一二月三日法律第八二号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、昭和五十九年四月一日から施行する。
附則 (昭和五九年三月三一日法律第四号) 抄
1 この法律は、昭和五十九年四月一日から施行する。
2 次項に定めるものを除き、改正後の法人税法(以下次項までにおいて「新法」という。)の規定、附則第四項(国税通則法の一部改正)の規定による改正後の国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第八号(定義)の規定並びに附則第五項(国税徴収法の一部改正)の規定による改正後の国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第二条第十号(定義)及び第三十五条第一項(同族会社の第二次納税義務)の規定は、法人(新法第二条第八号(定義)に規定する人格のない社団等を含む。以下この項において同じ。)のこの法律の施行の日(以下この項において「施行日」という。)以後に終了する事業年度の所得に対する法人税、施行日以後に終了する事業年度の退職年金等積立金に対する法人税及び施行日以後の解散又は合併による清算所得に対する法人税(清算所得に対する法人税を課される法人の清算中の事業年度の所得に係る法人税及び残余財産の一部分配により納付すべき法人税を含む。以下この項において同じ。)について適用し、法人の施行日前に終了した事業年度の所得に対する法人税、施行日前に終了した事業年度の退職年金等積立金に対する法人税及び施行日前の解散又は合併による清算所得に対する法人税については、なお従前の例による。
附則 (昭和五九年三月三一日法律第五号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、昭和五十九年四月一日から施行する。
(国税徴収法の一部改正に伴う経過措置)
第十六条
 前条の規定による改正後の国税徴収法の規定は、施行日以後に同法第三十二条第一項(第二次納税義務の通則)に規定する納付の期限が到来する第二次納税義務について適用し、施行日前に当該期限が到来した第二次納税義務については、なお従前の例による。
附則 (昭和五九年八月一〇日法律第七二号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、昭和六十年四月一日から施行する。
附則 (昭和六三年一二月三〇日法律第一〇八号) 抄
(施行期日等)
第一条
1 この法律は、公布の日から施行し、平成元年四月一日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び同日以後に国内において事業者が行う課税仕入れ並びに同日以後に保税地域から引き取られる外国貨物に係る消費税について適用する。
2 前項の規定にかかわらず、この法律のうち次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 略
二 附則第二十条、第二十一条、第二十二条第三項、第二十三条第三項及び第四項、第二十四条第三項、第二十五条第二項から第四項まで、第二十七条から第二十九条まで、第三十一条から第四十五条まで、第四十六条(関税法第二十四条第三項第二号の改正規定に限る。)、附則第四十八条から第五十一条まで、第五十二条(輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律第十四条を削る改正規定を除く。)並びに附則第五十三条から第六十七条までの規定 平成元年四月一日
(国税徴収法の一部改正に伴う経過措置)
第五十六条
 前条の規定による改正後の国税徴収法の規定は、同条の規定の施行後に課されるべき、又は納付し若しくは徴収されるべき国税について適用し、同条の規定の施行前に課されるべき、又は納付すべきであつた砂糖消費税、物品税又はトランプ類税については、なお従前の例による。
附則 (昭和六三年一二月三〇日法律第一〇九号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一及び二 略
三 次に掲げる規定 昭和六十四年四月一日
イからリまで  略
ヌ  附則第八十二条及び第八十三条の規定、附則第八十四条の規定(災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律第七条第一項及び第二項の改正規定に限る。)並びに附則第八十六条から第百九条まで及び第百十一条から第百十五条までの規定
(国税徴収法の一部改正に伴う経過措置)
第百六条
 前条の規定による改正後の国税徴収法の規定は、同条の規定の施行後に課されるべき、又は納付し若しくは徴収されるべき国税について適用し、同条の規定の施行前に課されるべき、又は納付すべきであつたたばこ消費税については、なお従前の例による。
附則 (平成元年一二月二二日法律第九一号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (平成三年五月二日法律第六九号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、平成四年一月一日から施行する。ただし、第三十八条の規定は、公布の日から施行する。
附則 (平成三年一〇月四日法律第九〇号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (平成八年六月一四日法律第八二号) 抄