法令名 不動産の鑑定評価に関する法律
法令番号 (昭和三十八年七月十六日法律第百五十二号)
施行年月日 昭和三十九年四月一日
最終改正 平成五年一一月一二日法律第八九号
目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 不動産鑑定士及び不動産鑑定士補
 第一節 不動産鑑定士試験(第三条―第十四条)
 第二節 登録(第十五条―第二十一条)
第三章 不動産鑑定業
 第一節 登録(第二十二条―第三十四条)
 第二節 業務(第三十五条―第三十九条)
第四章 監督(第四十条―第四十六条)
第五章 雑則(第四十七条―第五十五条)
第六章 罰則(第五十六条―第六十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条
 この法律は、不動産の鑑定評価に関し、不動産鑑定士等の資格及び不動産鑑定業について必要な事項を定め、もつて土地等の適正な価格の形成に資することを目的とする。
(定義)
第二条
1 この法律において「不動産の鑑定評価」とは、土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利の経済価値を判定し、その結果を価額に表示することをいう。
2 この法律において「不動産鑑定業」とは、みずから行なうと他人を使用して行なうとを問わず、他人の求めに応じ報酬を得て、不動産の鑑定評価を業として行なうことをいう。
3 この法律において「不動産鑑定業者」とは、第二十四条の規定による登録を受けた者をいう。
第二章 不動産鑑定士及び不動産鑑定士補
 第一節 不動産鑑定士試験
(不動産鑑定士試験)
第三条
 不動産鑑定士となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有するかどうかを判定するため、この法律で定めるところにより、不動産鑑定士試験を行なう。
(不動産鑑定士試験の種類)
第四条
1 不動産鑑定士試験を分けて、第一次試験、第二次試験及び第三次試験とする。
2 第二次試験に合格し、かつ、政令で定めるところにより二年以上不動産の鑑定評価に関する実務に従事した者は、不動産鑑定士補となる資格を有する。
3 第三次試験に合格した者は、不動産鑑定士となる資格を有する。
(第一次試験)
第五条
 第一次試験は、第二次試験を受けるのに相当な一般的学力を有するかどうかを判定することをもつてその目的とし、国語、数学及び論文について行なう。
(第一次試験の免除)
第六条
 次の各号の一に該当する者に対しては、第一次試験を免除する。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学若しくは高等専門学校を卒業した者又は同法第五十七条第二項の規定により同法による大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者
二 旧高等学校令(大正七年勅令第三百八十九号)による高等学校高等科、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学予科又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を卒業し、又は修了した者
三 高等試験予備試験、司法試験第一次試験又は公認会計士試験第一次試験に合格した者
四 前二号の一に該当する者のほか、政令で定めるところにより、これらの者と同等以上の一般的学力を有すると認められた者
(第二次試験)
第七条
1 第二次試験は、不動産鑑定士となるのに必要な専門的学識を有するかどうかを判定することをもつてその目的とし、民法、不動産に関する行政法規、経済学、会計学及び不動産の鑑定評価に関する理論について行なう。
2 第二次試験は、第一次試験に合格した者又は前条の規定により第一次試験を免除された者に限り、受けることができる。
(第二次試験の一部免除)
第八条
 次の各号の一に該当する者に対しては、当該各号に定める科目について第二次試験を免除する。
一 学校教育法による大学若しくは高等専門学校、旧大学令による大学(予科を含む。)、旧高等学校令による高等学校高等科若しくは旧専門学校令による専門学校(以下この条において「大学等」と総称する。)において通算して三年以上法律学に属する科目の教授若しくは助教授の職にあつた者又は法律学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者については、民法
二 大学等において通算して三年以上経済学に属する科目の教授若しくは助教授の職にあつた者又は経済学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者については、経済学
三 大学等において通算して三年以上商学に属する科目の教授若しくは助教授の職にあつた者又は商学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者については、会計学
四 民法、経済学又は会計学について高等試験本試験、司法試験第二次試験又は公認会計士試験第二次試験を受け、その試験に合格した者については、その試験において受験した科目
(第三次試験)
第九条
1 第三次試験は、不動産鑑定士となるのに必要な高等の専門的応用能力を有するかどうかを判定することをもつてその目的とし、不動産の鑑定評価に関する実務について行なう。
2 第三次試験は、不動産鑑定士補となる資格を有する者又は不動産鑑定士補で、次条の規定による実務補習を受けた期間が一年以上のものに限り、受けることができる。
(実務補習)
第十条
1 実務補習は、不動産鑑定士補となる資格を有する者又は不動産鑑定士補に対して、不動産鑑定士となるのに必要な技能を修得させるため、不動産鑑定業者の事務所、第五十二条の規定による届出をした社団又は財団その他の国土庁長官の認定する機関において行なう。
2 前項に規定するもののほか、実務補習に関し必要な事項は、総理府令で定める。
(受験手数料)
第十一条
1 不動産鑑定士試験の各試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を納付しなければならない。
2 前項の規定により納付した受験手数料は、不動産鑑定士試験を受けなかつた場合においても返還しない。
(試験の施行)
第十二条
 不動産鑑定士試験は、毎年一回以上、土地鑑定委員会が行なう。
(合格の取消し等)
第十三条
1 土地鑑定委員会は、不正の手段によつて不動産鑑定士試験を受け、又は受けようとした者に対しては、合格の決定を取り消し、又はその試験を受けることを禁止することができる。
2 土地鑑定委員会は、前項の規定による処分を受けた者に対し、情状により、三年以内の期間を定めて不動産鑑定士試験を受けることができないものとすることができる。
(総理府令への委任)
第十四条
 この法律に定めるもののほか、不動産鑑定士試験に関し必要な事項は、総理府令で定める。
 第二節 登録
(登録)
第十五条
1 不動産鑑定士又は不動産鑑定士補となる資格を有する者が、不動産鑑定士又は不動産鑑定士補となるには、国土庁に備える不動産鑑定士名簿又は不動産鑑定士補名簿に、氏名、生年月日、住所その他総理府令で定める事項の登録を受けなければならない。
2 不動産鑑定士補が不動産鑑定士の登録を受けたときは、不動産鑑定士補の登録は、その効力を失う。
(欠格条項)
第十六条
 次の各号の一に該当する者は、不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の登録を受けることができない。
一 未成年者
二 禁治産者又は準禁治産者
三 破産者で復権を得ない者
四 禁錮以上の刑に処せられた者で、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から三年を経過しないもの
五 公務員で懲戒免職の処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者
六 第二十条第四号又は第四十条第一項若しくは第三項の規定による登録の消除の処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者
七 第四十条第一項又は第二項の規定による禁止の処分を受け、その禁止の期間中に第二十条第一号の規定に基づきその登録が消除され、まだその期間が満了しない者
(登録の手続)
第十七条
1 不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の登録を受けようとする者は、登録申請書を国土庁長官に提出しなければならない。
2 前項の登録申請書には、不動産鑑定士又は不動産鑑定士補となる資格を有することを証する書類を添附しなければならない。
3 国土庁長官は、前二項の規定による書類の提出があつたときは、遅滞なく、不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の登録をしなければならない。
(変更の登録)
第十八条
 不動産鑑定士又は不動産鑑定士補は、第十五条第一項の規定により登録を受けた事項に変更があつたときは、遅滞なく、変更の登録を申請しなければならない。
(死亡等の届出)
第十九条
 不動産鑑定士又は不動産鑑定士補が次の各号の一に該当するときは、当該各号に定める者は、その日(第一号の場合にあつては、その事実を知つた日)から三十日以内に、国土庁長官にその旨を届け出なければならない。
一 死亡したとき。 23相続人
二 第十六条第二号に該当するに至つたとき。 23後見人又は保佐人
三 第十六条第三号から第五号までの一に該当するに至つたとき。 23本人
(登録の消除)
第二十条
 国土庁長官は、次の各号の一に掲げる場合には、当該不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の登録を消除しなければならない。
一 本人から登録の消除の申請があつたとき。
二 前条の規定による届出があつたとき。
三 前条の規定による届出がなくて同条各号の一に該当する事実が判明したとき。
四 偽りその他不正の手段により不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の登録を受けたことが判明したとき。
五 第十三条第一項の規定により不動産鑑定士試験の合格の決定を取り消されたとき。
(総理府令への委任)
第二十一条
 この法律に定めるもののほか、不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の登録に関し必要な事項は、総理府令で定める。
第三章 不動産鑑定業
 第一節 登録
(不動産鑑定業者の登録)
第二十二条
1 不動産鑑定業を営もうとする者は、二以上の都道府県に事務所を設ける者にあつては国土庁に、その他の者にあつてはその事務所の所在地の属する都道府県に備える不動産鑑定業者登録簿に登録を受けなければならない。
2 不動産鑑定業者の登録の有効期間は、三年とする。
3 前項の有効期間の満了後引き続き不動産鑑定業を営もうとする者は、更新の登録を受けなければならない。
4 更新の登録の申請があつた場合において、第二項の有効期間の満了の日までにその申請に対する処分がなされないときは、従前の登録は、同項の有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する。
5 前項の場合において、更新の登録がなされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
(登録の申請)
第二十三条
1 前条第一項又は第三項の規定により登録を受けようとする者(以下この節において「登録申請者」という。)は、総理府令で定めるところにより、二以上の都道府県に事務所を設けて不動産鑑定業を営む者にあつては国土庁長官に、その他の者にあつてはその事務所の所在地を管轄する都道府県知事に、次の各号に掲げる事項を記載した登録申請書を提出しなければならない。
一 名称又は商号
二 個人であるときはその氏名、法人であるときはその役員(業務を執行する社員、取締役又はこれらに準ずる者をいう。以下この節において同じ。)の氏名
三 事務所の名称及び所在地
四 事務所ごとの専任の不動産鑑定士の氏名(不動産鑑定士である登録申請者がみずから実地に不動産の鑑定評価を行なう事務所にあつては、その旨)
2 前項の登録申請書には、総理府令で定めるところにより、次に掲げる書類を添附しなければならない。
一 不動産鑑定業経歴書
二 事務所ごとの不動産鑑定士及び不動産鑑定士補の氏名を記載した書面
三 第二十五条各号に該当しないことを誓約する書面
四 第三十五条第一項に規定する要件を備えていることを証する書面
五 その他総理府令で定める書面
(登録の実施)
第二十四条
 国土庁長官又は都道府県知事は、前条の規定による書類の提出があつたときは、次条の規定のより登録を拒否する場合を除くほか、遅滞なく、前条第一項各号に掲げる事項並びに登録年月日及び登録番号を不動産鑑定業者登録簿に登録しなければならない。
(登録の拒否)
第二十五条
 国土庁長官又は都道府県知事は、登録申請者が次の各号の一に該当する者であるとき、又は登録申請書若しくはその添附書類に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 破産者で復権を得ない者
二 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反し、若しくは不動産の鑑定評価に関し罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から三年を経過しない者
三 第十六条第六号又は第七号に該当する者
四 第三十条第六号又は第四十一条の規定により登録を消除され、その登録の消除の日から三年を経過しない者
五 第四十一条の規定による業務の停止の命令を受け、その停止の期間中に第二十九条第一号に該当し、第三十条第一号又は第二号の規定に基づきその登録を消除され、まだその期間が満了しない者
六 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者で、その法定代理人が前各号の一に該当するもの
七 法人で、その役員のうちに第一号から第五号までの一に該当する者のあるもの
(登録換え)
第二十六条
1 不動産鑑定業者は、次の各号の一に掲げる場合には、あらかじめ、総理府令で定めるところにより、国土庁長官又は都道府県知事に登録換えの申請をしてその登録を受けなければならない。
一 国土庁長官の登録を受けている者が、一の都道府県を除きその他の都道府県における事務所を廃止するとき。
二 都道府県知事の登録を受けている者が、その都道府県以外の都道府県にも事務所を設けるとき。
三 都道府県知事の登録を受けている者が、その都道府県における事務所を廃止して、他の都道府県に事務所を設けるとき。
2 国土庁長官又は都道府県知事は、前項の申請に基づき登録をしたときは、ただちに、その旨を従前の登録をした都道府県知事又は国土庁長官に通知しなければならない。
3 第一項の登録換えは、更新の登録とみなしてこの法律の規定を適用する。
(変更の登録)
第二十七条
1 不動産鑑定業者は、第二十三条第一項各号に掲げる事項について変更があつたときは、遅滞なく、変更の登録を申請しなければならない。
2 不動産鑑定業者が変更の登録の申請をしようとするときは、当該変更に係る事項を記載した申請書をその不動産鑑定業者の登録をした国土庁長官又は都道府県知事に提出しなければならない。この場合において、その変更が法人の役員の増員若しくは交代又は事務所の新設によるものであるときは、申請書にその役員又は事務所に関する第二十三条第二項第三号又は第四号に掲げる書面を添附しなければならない。
3 第二十四条及び第二十五条の規定は、変更の登録の申請があつた場合に準用する。
(書類の提出義務)
第二十八条
 不動産鑑定業者は、総理府令で定めるところにより、毎年一回一定の時期に、次の各号に掲げる書類を国土庁長官又は都道府県知事に提出しなければならない。
一 過去一年間における事業実績の概要を記載した書面
二 事務所ごとの不動産鑑定士及び不動産鑑定士補の変動を記載した書面
三 その他総理府令で定める書面
(廃業等の届出)
第二十九条
 不動産鑑定業者が次の各号の一に該当するときは、当該各号に定める者は、その日(第二号の場合にあつては、その事実を知つた日)から三十日以内に、その不動産鑑定業者の登録をした国土庁長官又は都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
一 不動産鑑定業を廃止したとき。 17不動産鑑定業者であつた個人又は不動産鑑定業者であつた法人を代表する役員
二 死亡したとき。 17相続人
三 法人が破産により解散したとき。 17破産管財人
四 法人が合併により解散したとき。 17法人を代表する役員であつた者
五 法人が破産又は合併以外の理由により解散したとき。 17清算人
六 第二十五条第一号から第三号まで、第六号又は第七号に該当するに至つたとき。 17不動産鑑定業者
(登録の消除)
第三十条
 国土庁長官又は都道府県知事は、次の各号の一に掲げる場合には、当該不動産鑑定業者の登録を消除しなければならない。
一 前条の規定による届出があつたとき。
二 前条の規定による届出がなくて同条各号の一に該当する事実が判明したとき。
三 登録の有効期間の満了の際、更新の登録の申請がなかつたとき。
四 第二十二条第四項に規定する場合において、更新の登録がなされないこととなつたとき。
五 第二十六条第二項の規定による通知があつたとき。
六 偽りその他不正の手段により不動産鑑定業者の登録を受けたことが判明したとき。
(不動産鑑定業者登録簿等の供覧等)
第三十一条
1 国土庁長官は次に掲げる書類を、都道府県知事は次に掲げる書類及び次項の規定により送付を受けた書類を公衆の閲覧に供さなければならない。
一 不動産鑑定業者登録簿
二 第二十三条第二項、第二十七条第二項後段又は第二十八条の規定により提出を受けた書類
2 国土庁長官は、その登録を受けた不動産鑑定業者に関する前項各号に掲げる書類の写しをその不動産鑑定業者の事務所の所在地を管轄する都道府県知事に送付しなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、第一項の規定による書類の供覧に関し必要な事項は、政令で定める。
(登録申請手数料)
第三十二条
 登録申請者は、実費を勘案して政令で定める額の登録申請手数料を納付しなければならない。
(無登録業務の禁止)
第三十三条
 不動産鑑定業者の登録を受けない者は、不動産鑑定業を営んではならない。
(総理府令への委任)
第三十四条
 この法律に定めるもののほか、不動産鑑定業者の登録に関し必要な事項は、総理府令で定める。
 第二節 業務
(不動産鑑定士の設置)
第三十五条
1 不動産鑑定士でない不動産鑑定業者は、その事務所ごとに専任の不動産鑑定士を一人以上置かなければならない。不動産鑑定士である不動産鑑定業者がみずから実地に不動産の鑑定評価を行なわない事務所についても、同様とする。
2 不動産鑑定業者は、前項の規定に抵触するに至つた事務所があるときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければならない。
(不動産鑑定士又は不動産鑑定士補でない者等による鑑定評価の禁止)
第三十六条
1 不動産鑑定士又は不動産鑑定士補でない者は、不動産鑑定業者の業務に関し、不動産の鑑定評価を行なつてはならない。
2 不動産鑑定業者は、その業務に関し、不動産鑑定士若しくは不動産鑑定士補でない者又は第四十条第一項若しくは第二項の規定による禁止の処分を受けた者に不動産の鑑定評価を行なわせてはならない。
(不動産鑑定士等の責務)
第三十七条
 不動産鑑定業者の業務に従事する不動産鑑定士及び不動産鑑定士補は、良心に従い、誠実に不動産の鑑定評価を行なうとともに、不動産鑑定士及び不動産鑑定士補の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
(秘密を守る義務)
第三十八条
 不動産鑑定業者並びにその業務に従事する不動産鑑定士及び不動産鑑定士補は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。不動産鑑定業者がその不動産鑑定業を廃止し、又は不動産鑑定士若しくは不動産鑑定士補がその不動産鑑定業者の業務に従事しなくなつた後においても、同様とする。
(鑑定評価書等)
第三十九条
1 不動産鑑定業者は、依頼者に、鑑定評価額その他総理府令で定める事項を記載した鑑定評価書を交付しなければならない。
2 鑑定評価書には、その不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士又は不動産鑑定士補がその資格を表示して署名押印しなければならない。
3 不動産鑑定業者は、総理府令で定めるところにより、鑑定評価書の写しその他の書類を保存しなければならない。
第四章 監督
(不当な鑑定評価等についての懲戒処分)
第四十条
1 国土庁長官は、不動産鑑定士又は不動産鑑定士補が、不動産鑑定業者の業務に関し、故意に、不当な不動産の鑑定評価を行なつたときは、懲戒処分として、一年以内の期間を定めて、不動産鑑定業者の業務に関し不動産の鑑定評価を行なうことを禁止し、又はその不動産鑑定士若しくは不動産鑑定士補の登録を消除することができる。不動産鑑定士又は不動産鑑定士補が、第三十三条又は第三十八条の規定に違反したときも、同様とする。
2 国土庁長官は、不動産鑑定士又は不動産鑑定士補が、不動産鑑定業者の業務に関し、相当の注意を怠り、不当な不動産の鑑定評価を行なつたときは、懲戒処分として、一年以内の期間を定めて、不動産鑑定業者の業務に関し不動産の鑑定評価を行なうことを禁止することができる。
3 国土庁長官は、不動産鑑定士又は不動産鑑定士補が、前二項の規定による禁止の処分に違反したときは、その不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の登録を消除することができる。
(不動産鑑定業者に対する監督処分)
第四十一条
 国土庁長官又は都道府県知事は、その登録を受けた不動産鑑定業者が次の各号の一に該当するときは、その不動産鑑定業者に対し、一年以内の期間を定めて、その業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又はその登録を消除することができる。
一 この法律又はこの法律に基づく国土庁長官若しくは都道府県知事の処分に違反したとき。
二 不動産鑑定業者の業務に従事する不動産鑑定士又は不動産鑑定士補が、前条の規定による処分を受けた場合において、その不動産鑑定業者の責めに帰すべき理由があるとき。
(不当な鑑定評価に対する措置の要求)
第四十二条
 不動産鑑定士又は不動産鑑定士補が不動産鑑定業者の業務に関し不当な不動産の鑑定評価を行なつたことを疑うに足りる事実があるときは、何人も、国土庁長官又は当該不動産鑑定業者が登録を受けた都道府県知事に対し、資料を添えてその事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
(懲戒処分等の手続)
第四十三条
1 国土庁長官又は都道府県知事は、第四十条の規定による不動産の鑑定評価の禁止をしようとするとき、又は第四十一条の規定による業務の停止を命じようとするときは、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
2 第四十条又は第四十一条の規定による処分に係る聴聞の主宰者は、必要があると認めるときは、参考人の意見を聴かなければならない。
3 国土庁長官又は都道府県知事は、前項の規定により出頭を求めた参考人に対して、政令で定めるところにより、旅費、日当その他の費用を支給しなければならない。
4 国土庁長官は、第四十条第一項前段又は第二項の規定による処分をしようとするときは、土地鑑定委員会の意見をきかなければならない。
(懲戒処分等の公告)
第四十四条
 国土庁長官又は都道府県知事は、第四十条又は第四十一条の規定による処分をしたときは、政令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
(報告及び検査)
第四十五条
1 国土庁長官又は都道府県知事は、不動産鑑定業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、国土庁長官にあつてはすべての不動産鑑定業者について、都道府県知事にあつてはその登録を受けた不動産鑑定業者について、その業務に関し必要な報告を求め、又はその職員にその業務に関係のある事務所その他の場所に立ち入り、その業務に関係のある帳簿書類を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をしようとする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(助言又は勧告)
第四十六条
 国土庁長官又は都道府県知事は、不動産鑑定業の適正な運営の確保又はその健全な発達を図るため必要があるときは、その登録を受けた不動産鑑定業者に対し、その営む不動産鑑定業に関し必要な助言又は勧告をすることができる。
第五章 雑則
(試験委員)
第四十七条
1 不動産鑑定士試験の問題の作成及び採点を行なわせるため、土地鑑定委員会に試験委員を置く。
2 試験委員は、試験の施行ごとに、土地鑑定委員会の推薦に基づき、国土庁長官が任命する。
第四十八条
から第五十一条まで 削除
(不動産鑑定士等の団体)
第五十二条
 不動産鑑定士及び不動産鑑定士補の品位の保持及び資質の向上を図り、あわせて不動産の鑑定評価に関する業務の進歩改善を図ることを目的とする社団又は財団で、総理府令で定めるものは、総理府令で定めるところにより、国土庁長官又は都道府県知事に対して、総理府令で定める事項を届け出なければならない。
第五十三条
 国土庁長官又は都道府県知事は、不動産の鑑定評価の適正な実施の確保又は不動産鑑定業の健全な発達を図るため必要があるときは、前条の規定による届出をした社団又は財団に対し、報告を求め、又は助言若しくは勧告をすることができる。
(名称の使用禁止)
第五十四条
 不動産鑑定士又は不動産鑑定士補でない者は、それぞれ不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の名称を用いてはならない。
(農地等に関する適用除外)
第五十五条
 次の各号の一に該当する場合においては、当該評価等の行為は、この法律にいう不動産の鑑定評価に含まれないものとする。
一 農地、採草放牧地又は森林の取引価格(農地、採草放牧地及び森林以外のものとするための取引に係るものを除く。)を評価するとき。
二 損害保険の目的である建物の保険価額又は損害填補額を算定するとき。
三 建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)による建築士事務所(木造建築士事務所を除く。)の業務として、建物につき鑑定するとき。
第六章 罰則
第五十六条
 次の各号の一に額当する者は、一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 偽りその他不正の手段により不動産鑑定業者の登録を受けた者
二 第三十三条の規定に違反して、不動産鑑定業を営んだ者
三 第四十一条の規定による業務の停止の命令に違反して、業務を営んだ者
第五十七条
 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 偽りその他不正の手段により不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の登録を受けた者
二 第三十六条第一項の規定に違反して、不動産の鑑定評価を行なつた者
三 第三十六条第二項の規定に違反して、不動産の鑑定評価を行なわせた者
四 第三十八条の規定に違反して、業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を漏らした者
五 第四十条第一項又は第二項の規定による禁止の処分に違反して、不動産の鑑定評価を行なつた者
第五十八条
 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 不動産鑑定士試験に関し、事前に試験問題を漏らし、又は不正の採点をした者
二 第二十六条第一項の規定に違反して、事務所を廃止し、又は設けた者
三 第二十七条第一項の規定に違反して、変更の登録を申請せず、又は虚偽の申請をした者
四 第二十八条の規定に違反して、書類の提出を怠り、又は虚偽の記載をして書類を提出した者
五 第四十五条第一項の規定による報告を求められて、その報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
六 第五十四条の規定に違反して、不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の名称を用いた者
第五十九条
 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第五十六条、第五十七条第三号又は前条第二号から第五号までの違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
第六十条
 第十九条又は第二十九条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附則 抄
(施行期日)
1 この法律は、昭和三十九年四月一日から施行する。
(特別試験)
2 昭和四十一年十二月三十一日までの間に限り、特別不動産鑑定士試験及び特別不動産鑑定士補試験を行なう。
(不動産鑑定士となる資格の特例)
3 特別不動産鑑定士試験に合格した者は、第四条第三項の規定にかかわらず、不動産鑑定士となる資格を有する。
(不動産鑑定士補となる資格の特例)
4 特別不動産鑑定士補試験に合格した者は、第四条第二項の規定にかかわらず、不動産鑑定士補となる資格を有する。
(罰則)
12 特別不動産鑑定士試験又は特別不動産鑑定士補試験に関し、事前に試験問題を漏らし、又は不正の採点をした者は、三万円以下の罰金に処する。
附則 (昭和四四年六月二三日法律第四九号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、昭和四十四年七月一日から施行する。
(不動産の鑑定評価に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
8 前項の規定による改正前の不動産の鑑定評価に関する法律の規定によつて不動産鑑定士審査会がした処分、手続その他の行為は、改正後の不動産の鑑定評価に関する法律の規定によつて土地鑑定委員会がした処分、手続その他の行為とみなす。
附則 (昭和四九年六月二六日法律第九八号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第五十三条
1 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の国土総合開発法、首都圏整備法、首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律、首都圏近郊緑地保全法、筑波研究学園都市建設法、近畿圏整備法、近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律、近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律、近畿圏の保全区域の整備に関する法律、琵琶湖総合開発特別措置法、中部圏開発整備法、新産業都市建設促進法、過疎地域対策緊急措置法、奄美群島振興開発特別措置法、小笠原諸島復興特別措置法、奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特別措置法の一部を改正する法律、小笠原諸島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律、防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律、地価公示法、不動産の鑑定評価に関する法律(不動産鑑定士特例試験及び不動産鑑定士補特例試験に関する法律において準用する場合を含む。)又は水資源開発公団法(以下「国土総合開発法等」と総称する。)の規定により国の機関がした許可、承認、指定その他の処分又は通知その他の行為は、この法律による改正後の国土総合開発法等の相当規定に基づいて、相当の国の機関がした許可、承認、指定その他の処分又は通知その他の行為とみなす。
2 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の国土総合開発法等の規定により国の機関に対してされている申請、届出その他の行為は、この法律による改正後の国土総合開発法等の相当規定に基づいて、相当の国の機関に対してされた申請、届出その他の行為とみなす。
第五十四条
 この法律の施行の際現に効力を有する首都圏整備委員会規則、建設省令又は自治省令で、この法律による改正後の国土総合開発法等の規定により総理府令で定めるべき事項を定めているものは、この法律の施行後は、総理府令としての効力を有するものとする。
第五十五条
 従前の首都圏整備委員会の首都圏整備審議会及びその委員、建設省の土地鑑定委員会並びにその委員長、委員及び試験委員、自治省の奄美群島振興開発審議会並びにその会長及び委員並びに自治省の小笠原諸島復興審議会並びにその会長、委員及び特別委員は、それぞれ総理府又は国土庁の相当の機関及び職員となり、同一性をもつて存続するものとする。
附則 (昭和五三年四月二四日法律第二七号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第一条中不動産の鑑定評価に関する法律第十一条第一項の改正規定、第二条、第三条、第五条及び第六条の規定、第十九条中特許法第百七条第一項の改正規定、第二十条中実用新案法第三十一条第一項の改正規定、第二十一条中意匠法第四十二条第一項及び第二項の改正規定、第二十二条中商標法第四十条第一項及び第二項の改正規定、第二十八条中通訳案内業法第五条第二項の改正規定並びに第二十九条及び第三十条の規定は、昭和五十三年五月一日から施行する。
附則 (昭和五六年五月一九日法律第四五号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第一条中不動産の鑑定評価に関する法律第十一条第一項の改正規定、第二条、第五条及び第六条の規定、第十九条中特許法第百七条第一項の改正規定、第二十条中実用新案法第三十一条第一項の改正規定、第二十一条中意匠法第四十二条第一項及び第二項の改正規定、第二十二条中商標法第四十条第一項及び第二項の改正規定、第二十九条中通訳案内業法第五条第二項の改正規定並びに第三十条の規定は、昭和五十六年六月一日から施行する。
(経過措置)
2 次に掲げる受験手数料等については、なお従前の例による。
一 不動産の鑑定評価に関する法律第十一条第一項の改正規定の施行前に不動産鑑定士試験第二次試験の実施の公告により受験願書用紙等の交付が開始された当該試験を受けようとする者が納付すべき受験手数料
附則 (昭和五八年五月二〇日法律第四四号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則 (昭和五八年一二月一〇日法律第八三号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、公布の日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第十六条
 この法律の施行前にした行為及び附則第三条、第五条第五項、第八条第二項、第九条又は第十条の規定により従前の例によることとされる場合における第十七条、第二十二条、第三十六条、第三十七条又は第三十九条の規定の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則 (昭和五九年五月一日法律第二三号) 抄
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
附則 (平成五年一一月一二日法律第八九号) 抄
(施行期日)
第一条
 この法律は、行政手続法(平成五年法律第八十八号)の施行の日から施行する。
(諮問等がされた不利益処分に関する経過措置)
第二条
 この法律の施行前に法令に基づき審議会その他の合議制の機関に対し行政手続法第十三条に規定する聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続に相当する手続を執るべきことの諮問その他の求めがされた場合においては、当該諮問その他の求めに係る不利益処分の手続に関しては、この法律による改正後の関係法律の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置)
第十三条
 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(聴聞に関する規定の整理に伴う経過措置)
第十四条
 この法律の施行前に法律の規定により行われた聴聞、聴問若しくは聴聞会(不利益処分に係るものを除く。)又はこれらのための手続は、この法律による改正後の関係法律の相当規定により行われたものとみなす。