法令名 上場会社等の役員及び主要株主の当該上場会社等の特定有価証券等に関する省令
法令番号 昭和六十三年九月二十日大蔵省令第四十号
施行年月日 昭和六十三年十月一日
最終改正 平成六年九月一九日大蔵省令第九〇号
     証券等の売買に関する省令
(所有の態様その他の事情を勘案し株主が有している株式から除外するもの)
第一条
 証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号。以下「法」という。)第百六十三条第一項に規定する株式の所有の態様その他の事情を勘案して大蔵省令で定めるものは、次に掲げる株式とする。
一 信託業を営む者が信託財産として所有する株式
二 証券業を営む者が引受け又は売出しを行う業務により取得した株式
三 法第百五十六条の三第一項に規定する業務を営む者がその業務として所有する株式
(役員及び主要株主の特定有価証券等の買付け又は売付けに含まれる場合)
第二条
 法第百六十三条第一項に規定する上場会社等の役員又は主要株主が委託者又は受益者である信託の受託者が当該上場会社等の特定有価証券等の買付け又は売付けをする場合であつて大蔵省令で定める場合は、上場会社等の役員又は主要株主が受益者である運用方法が特定された信託について、当該上場会社等の役員又は主要株主の指図に基づき受託者が当該上場会社等の特定有価証券等の買付け又は売付けをする場合とする。
(売買に関する報告書の記載事項)
第三条
 法第百六十三条第一項の規定により提出する報告書は別表に定めるところにより作成しなければならない。
(報告書の提出を要しない場合)
第四条
 法第百六十三条第一項ただし書に規定する大蔵省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 端株(商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百三十条ノ二第一項に規定する端株をいう。)又は単位未満株式(商法等の一部を改正する法律(昭和五十六年法律第七十四号)附則第十八条に規定する単位未満株式をいう。)のみに係る株券の買付け又は売付けをした場合
二 上場会社等の役員又は従業員(当該上場会社等が他の会社の発行済株式の総数又は出資の総額の百分の五十を超える割合の株式又は出資を有する場合における当該他の会社の従業員を含む。以下本号及び次号において同じ。)が当該上場会社等の他の役員又は従業員と共同して当該上場会社等の株券の買付けを行つた場合(当該上場会社等が商法第二百十条ノ二第一項の規定に基づき買付けていた株券以外のものを買付けたときは、証券会社に委託して行つた場合に限る。)であつて、当該買付けが一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行われたものと認められる場合(各役員又は従業員の一回当たりの拠出金額が百万円に満たない場合に限る。次号において同じ。)
三 上場会社等の役員又は従業員が信託業を営む者と信託財産を当該上場会社等の株券に対する投資として運用することを目的とする信託契約を締結し、当該信託業を営む者が当該役員又は従業員の指図に基づき当該上場会社等の株券の買付けをした場合であつて、当該買付けが一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行われたものと認められる場合(当該役員又は従業員を委託者とする信託財産と当該上場会社等の他の役員又は従業員を委託者とする信託財産とが合同して運用される場合に限る。)
四 第二号に掲げる場合を除くほか、上場会社等の関係会社の従業員が当該関係会社の他の従業員と共同して当該上場会社等の株券の買付けを証券会社に委託して行つた場合であつて、当該買付けが一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行われたものと認められる場合(各従業員の一回当たりの拠出金額が百万円に満たない場合に限る。次号において同じ。)
五 第三号に掲げる場合を除くほか、上場会社等の関係会社の従業員が信託業を営む者と信託財産を当該上場会社等の株券に対する投資として運用することを目的とする信託契約を締結し、当該信託業を営む者が当該従業員の指図に基づき当該上場会社等の株券の買付けをした場合であつて、当該買付けが一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行われたものと認められる場合(当該従業員を委託者とする信託財産と当該関係会社の他の従業員を委託者とする信託財産とが合同して運用される場合に限る。)
六 前二号に規定する関係会社とは、次のいずれかに該当する会社(上場会社等を除く。)をいう。イ 上場会社等が他の会社の発行済株式の総数又は出資の総額の百分の二十五以上の割合の株式又は出資を有する場合における当該他の会社ロ 上場会社等に対する前事業年度における他の会社の売上高が当該他の会社の売上高の総額の百分の五十以上の場合における当該他の会社ハ 上場会社等からの前事業年度における他の会社の仕入高が当該他の会社の仕入高の総額の百分の五十以上の場合における当該他の会社
七 法第六十六条の五の規定による大蔵大臣の承認を受けた方法により上場会社等の株券(協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成五年法律第四十四号)に規定する優先出資証券を含む。)の買付けが証券会社に委託して行われた場合であつて、当該買付けが一定の計画に従い、個別の投資判断に基づかず、継続的に行われたものと認められる場合(各顧客の一銘柄に対する払込金額が一月当たり百万円に満たない場合に限る。)
八 証券取引所で行われる銘柄の異なる複数の株券の集合体を対象とする先物取引を行つた場合
九 法第百五十九条第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)に規定する政令で定めるところにより特定有価証券の売買をした場合
十 上場会社等の役員又は主要株主が、当該上場会社等の発行する特定有価証券のうち次のいずれかに該当するものに係る買戻条件付売買であつて買戻価格があらかじめ定められているものを行う場合(当該役員又は主要株主が専ら自己の資金調達のために行う場合に限る。)イ 法第二条第一項第四号に掲げる有価証券(転換社債券を除く。)ロ 同項第九号に掲げる有価証券でイの性質を有するもの
(買付け又は売付けの態様その他の事情を勘案し法第百六十四条第一項から第七項までの規定を適用しない場合)
第五条
 法第百六十四条第八項に規定する大蔵省令で定める場合は前条各号に掲げる場合とする。
(利益の算定の方法)
第六条
1 法第百六十四条第九項に規定する大蔵省令で定める利益の算定の方法は次に掲げる方法とする。
一 法第百六十三条の報告書の記載に基づき、上場会社等の役員又は主要株主が当該上場会社等の特定有価証券等について自己の計算においてその買付けをした後六月以内に売付けをし、又は売付けをした後六月以内に買付けをしたと認められる場合(次号の規定に該当する場合を除く。)においては、当該売付けの単価から当該買付けの単価を控除した数値に当該売付けの数量と当該買付けの数量のうちいずれか大きくない数量(以下この条において「売買合致数量」という。)を乗じて算出した金額のうち当該売買合致数量の部分に係る手数料及び有価証券取引税の額に相当する金額を超える部分の金額を利益の額と算定する。
二 法第百八十八条の報告書の記載に基づき、上場会社等の役員又は主要株主が、当該上場会社等の特定有価証券等について、二回以上の買付け又は二回以上の売付けを行つたと認められる場合においては、買付けのうち最も早い時期に行われたものと売付けのうち最も早い時期に行われたものとを組み合わせ(当該買付けの行われた後六月以内に当該売付けが行われた場合又は当該売付けの行われた後六月以内に当該買付けが行われた場合に限る。以下同じ。)前号に定める方法により利益の算定を行い、次に残つた買付け及び売付けについて、同様の方法により、組み合わせるべき買付け又は売付けがなくなるまで組み合わせを行い、それぞれの組合わせについて前号に定める方法により利益の算定を行うものとする。なお、同一日において二回以上の買付け又は二回以上の売付けを行つたと認められる場合においては、買付けについては最も単価が低いものから順に買付けを行つたものとみなし、売付けについては最も単価が高いものから順に売付けを行つたものとみなす。
2 前項第二号の規定の適用については、組み合わせた買付け又は売付けのうち売買合致数量を超える部分は、当該買付け又は売付けとは別個の買付け又は売付けとみなし、さらに組み合せの対象とする。
(役員又は主要株主が有する当該上場会社等の同種の特定有価証券の額)
第七条
 法第百六十五条第一号に規定する上場会社等の役員又は主要株主が有する当該上場会社等の同種の特定有価証券の額として大蔵省令で定める額は、当該役員又は主要株主の売付けに係る特定有価証券と同じ種類の当該上場会社等の特定有価証券であつて当該役員又は主要株主が所有するものの額に第一号及び第二号に掲げる額を加えた額から第三号及び第四号に掲げる額を控除した額とする。
一 当該役員又は主要株主が当該上場会社等の当該種類の特定有価証券について信用取引により買付けをして、信用に係る債務を決済していない場合における当該信用取引に係る当該種類の特定有価証券の額
二 当該役員又は主要株主が当該上場会社等の当該種類の特定有価証券について発行日取引により買付けをして、その引渡しを受けていない場合における当該発行日取引に係る当該種類の特定有価証券の額
三 当該役員又は主要株主が当該上場会社等の当該種類の特定有価証券について消費貸借による借入れをし、又は消費寄託による寄託を受けている場合における当該借入れ又は寄託に係る当該種類の特定有価証券等の額
四 当該役員又は主要株主が当該上場会社等の当該種類の特定有価証券等について発行日取引により売付けをして、その引渡しを行つていない場合における当該発行日取引に係る当該種類の特定有価証券等の額
別表
附則
この省令は、昭和六十三年十月一日から施行する。
(A)書類の種類
 役員・主要株主売買報告書
有価証券の発行者である上場会社等との関係、特定有価証券の種類及び銘柄、
約定月日、買付け又は売付けの別、単価、数量、金額、手数料並びに有価証
券取引税の額
(B)記載事項
 取引者の氏名又は名称、取引者の住所又は本店所在地、取引者と特定
(C)備考
 一 単価及び金額は邦貨建で記載すること。
 二 手数料は邦貨建とし、消費税を含んだ額を記載すること。
附則 (平成五年二月一二日大蔵省令第二号)
1 この省令は、公布の日から施行する。
2 この省令の施行の日前にした買付けに係る証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第百六十三条及び第百六十四条の規定の適用については、なお従前の例による。
3 この省令の施行の日前にした行為及び前項の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの省令の施行の日後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。